屋根スレートの塗装や葺き替えを検討されている方に朗報です。
自宅の屋根にはどのメンテナンス法が一番いいのか、様々な情報を検討されていると思いますが、まだ結論が出ていないのなら、ぜひこのまま読み進めてください。
この記事では、屋根スレートのベストな扱い方や基礎知識について、詳しくお話しします。
最後の方では、無料でスレートを修理・交換する秘密の方法についてもご説明しますので、ぜひ参考にして下さい。
目次
1. 屋根スレートとは
それでは、まずは屋根スレートそのものについて説明しましょう。
屋根スレートは「スレート」という屋根材を施工した屋根のことをいいます。そのスレートは「化粧スレート」と「天然スレート」の2つに大別されます。
1-1. 天然スレート
天然スレートは、粘板岩を薄く板状に加工した屋根材です。天然の岩を使用するので非常に高価なため、ほとんど普及していません。また、運搬にも細心の注意が必要な上、意外と割れやすく重量もあり、加工にも匠の技術が必要になりますので、どうしても施工費用は高額になります。
この天然スレート、国内では、宮城県石巻市雄勝町でしか生産されておらず、ほとんどは海外からの輸入に頼っていますので、あまり出回っていません。
よほど天然スレートに魅力を感じない限り、一般的には縁遠い屋根材といえますので、この記事では天然スレートについては割愛させていただきます。
1-2. 化粧スレート
化粧スレートとは、セメントと繊維を混ぜて、厚さ約5mmに成型された平板状の屋根材のことです。薄い平板状なので、施工時に運搬しやすく、また工業製品ですので品質が均一化されています。そのため、現場での加工は最低限で済むので施工費も安くあがります。
有名な化粧スレートとして、カラーベストやコロニアルがあります。以前、この2つが爆発的に普及したので、その他の化粧スレートも「カラーベスト」や「コロニアル」と呼ばれることが多いようです。
化粧スレートは、含まれている繊維の種類によって「石綿スレート」と「無石綿スレート」に分けられます。
1-3. 石綿スレート
石綿とは、英語ではアスベストといいます。セメントと混ぜる繊維の一部に石綿(アスベスト)を使用しているものが石綿スレートと呼ばれています。平成18年以前に製造された化粧スレートには、石綿(アスベスト)が含まれている可能性があります。
アスベストといえば、その健康被害が懸念されますが、現在、住まわれている屋根が化粧スレートでもすぐに健康被害が出るわけではありません。そのままでもアスベストが飛散することはまずありません。
しかし、雨漏りや経年劣化等で屋根の葺き替えをされる場合は別です。葺き替え工事中にアスベストが飛散するので、それを防ぐために施工業者と事前の打ち合わせが必要になります。恐らく、施工業者の方から話を持ってくると思われます。
1-4. 無石綿スレート
石綿(アスベスト)が含まれていない化粧スレートを無石綿スレートといいます。平成18年にアスベスト規制が強化され、現在、製造販売されている化粧スレートには全く石綿(アスベスト)は含まれていません。
2. スレート屋根のメリットとデメリット
スレート屋根は、安価で加工性もよく、耐久性も程よくあるため、現在、最も普及している屋根材でと言えるでしょう。分かりやすくお伝えするため、ここではスレート以外の材料、日本瓦・ガルバリウム鋼板と比較することで、そのメリットとデメリットについてご紹介します。
2-1. 日本瓦屋根との比較
■ メリット
メリット①:耐震性が高い
理由:重量が軽いので、地震に影響を受けにくい材質だと言えるでしょう。日本瓦の重さは、約165kg/坪で、スレートの重さは、約68kg/坪です。その差は約2.5倍です。
メリット②:色合いが豊富
理由:スレート屋根は表面に塗装をして色合いを変更できます。その数は24色以上あります。日本瓦は塗装できないため、数種類しか選択肢がありません。
メリット③:修理費用が安い
理由:スレート屋根の方が屋根構造がシンプルなので、修理費用も安価で済みます。日本瓦屋根は、日本瓦の下に桟木を設置したり、のし瓦や鬼瓦などの棟瓦の施工や漆喰も塗らなければならず、かなりの手間が掛かります。一方、スレート屋根は、基本的にスレートと水切り金具の構造のみで、修理に手間が掛かりません。
■ デメリット
デメリット①:塗装メンテナンスが必要
理由:スレート屋根は表面が塗装されているので、経年劣化等で定期的な再塗装が必要になります。一方、日本瓦屋根は素材自体の色か、釉薬で覆われた陶器ですので、色あせはほとんどありません。
デメリット②:耐久性が低い
理由:スレート自体は、しっかりとメンテナンスをして寿命は30年~50年といわれていますが、日本瓦自体はメンテナンス不要で50年~100年が寿命といわれています。
デメリット③:強度が低い
理由:スレートの厚みは、約5mmで、材質はセメントと繊維です。日本瓦の厚みは、約10mm~20mmで、高温で焼き上げた陶器です。当然スレートのほうが強度は低いといえます。
2-2. ガルバリウム鋼板屋根との比較
■ メリット
メリット①:色合いが多い
理由:スレート屋根は、表面に塗装をして色合いを決められるからです。その数は24色以上あります。ガルバリウム鋼板屋根も表面に塗装しますが、まだその種類は限られているのが現状です。今後はその数も増えてくると思われます。
メリット②:凹みにくい
理由:ガルバリウム鋼板屋根は、薄い金属の鋼板ですので、ちょっとした衝撃でもすぐに凹んでしまいます。スレート屋根は、凹むことはありませんが、ある一定以上の衝撃が掛かると割れてしまいます。
■ デメリット
デメリット①:耐震性が良くない
理由:スレートの重さは約68kg/坪、ガルバリウム鋼板の重さは約17kg/坪。その差は、約4倍です。ガルマニウムの方が圧倒的に耐震設計に優れています。
デメリット②:デザインが限られている
理由:スレートは平べったいので、そのほとんどがスッキリとしたデザインです。一方のガルバリウム鋼板は、金属を加工することにより、立体的な仕上がりを可能にしています。日本瓦風、洋瓦風、スレート風、金属瓦風の4デザインから選べます。
デメリット③:定期的なメンテナンスが必要
理由:スレートは、約10年に1度、塗装などのメンテナンスが必要です。しかし、ガルバリウム鋼板は、30年~50年間はメンテナンス不要です。
デメリット④:耐久性が高い
理由:スレートのメーカー保証期間は長くて10年。一方、ガルバリウム鋼板屋根は30年で、長いところでは50年保証が付けられていることもあります。ただし、メーカー保証は、施工保証とは全く異なります。簡単に言えば、メーカー保証とは、その製品そのものの品質保証で、施工保証は屋根全体の保証のことです。
3. 5つのメンテナンス方法
ここでは、代表的な屋根スレートのメンテナンス方法をお伝えします。それぞれの特徴を掴んでベストなメンテナンス方法を選んで下さい。
3-1. 屋根塗装
古いスレートの塗装を高圧洗浄機などを使って取り除き、傷んだ箇所を補修後、再塗装するメンテナンス方法です。再塗装により、スレートの経年劣化のスピードを遅らせます。詳しい内容は「屋根塗装をする時、知っておくと役に立つ3つのシークレット」で説明しています。
ただし、すでに経年劣化したスレートに再塗装をしても無駄です。ボロボロになったスレートに塗装をしてもすぐに剥がれてしまいます。その場合は、次の屋根の葺き替えをおススメします。
3-2. 屋根の葺き替え
「葺き替え」とは、スレート屋根をすべて新しく取り替える方法です。一般的には「スレート」と、棟板金などの「水切り金具」、「ルーフィング」だけを取り替えるケースがほとんどですが、屋根の傷み具合によっては、その下の「野地板」まで取り替えることもあります。
スレート自体が酷く傷んでいる経年劣化の場合は、塗装ではなく必ずこの屋根の葺き替えを行います。葺き替えの詳細は「屋根を葺き替えする前に、必ず知って欲しい5つの助言」で紹介しています。メンテナンスのついでに100%雨漏りを止めたいという方には、最も適したのメンテナンス方法です。
3-3. 屋根カバー工法
屋根カバー工法とは、傷んだスレートの上に、そのまま新しい屋根材を施工する方法です。外見は葺き替えと同様にすべて新しくなります。このメンテナンス方法のメリットは、葺き替えよりも費用が安く、工事期間も短縮できることが挙げられます。
しかし、デメリットもあります。それは、屋根が二重になるため重くなったり、下側にある屋根が不具合を起こした場合、修理が大変になることです。長い目で見た場合、このカバー工法を私たちはあまりオススメしてはいません。詳しい内容を知りたい方は「屋根カバー工法の基本的な知識とおススメできない3つの理由」の記事をご覧ください。
3-4. 屋根修理・屋根補修
最も屋根スレートが壊れる箇所は、棟板金部分です。棟板金とは、スレート屋根の頂上部にある金属板のことです。この部分が突風や強風の影響が一番受けやすいので、頻繁に被害が発生します。このように突風や強風で損害を受けることを「風災」といいます。
あなたが既に火災保険に加入されていれるのならば「風災補償」で屋根スレートの修理・補修ができる可能性大です。99%の火災保険には、この「風災補償」が自動で付いていますので、ご安心下さい。
「風災補償」の範囲は意外に広く、台風や竜巻のような誰が見ても分かる大きな風でなくとも、一時的な突風や春一番、大雨時の強風などでも、十分に風災の対象となります。
その見極めについては「必見!火災保険を使って屋根修理を無料で行う方法」で詳しくご説明しています。自費で屋根を修理する前に、必ずこの記事だけはご確認下さい。
4. 築年数ごとのメンテナンス方法
ここでは、築年数ごとにやるべきメンテナンス方法をお話しします。
4-1. 築年数10年未満
■ メンテナンスは不要
雨漏りがあるようでしたら、それは施工不良ですので、家を建てた業者に連絡しましょう。無料で修理してもらえるはずです。無料の理由は「【必見】雨漏りの修理費用を1円でも安く抑える5つのポイント」をご覧ください。
また、明らかに壊れている場合は9割方、突風や強風による破損です。火災保険の「風災補償」で修理できます。
4-2. 築年数10年~20年
■ 1度目の塗装
スレート屋根に何も問題が生じていなくても、必ず再塗装を行なうべきです。ここで手を抜くとスレート屋根の寿命が著しく短くなります。後悔されている方のほとんどは、この時期にメンテナンスの塗装をされていません。
4-3. 築年数21年~30年
■ 2度目の塗装または屋根補修
湿気や積雪の多い地域では2度目の再塗装を行ないましょう。それ以外の地域では、スレート屋根の状態を見て、必要最低限な屋根補修だけはメンテナンスすることをおススメします。
4-4. 築年数31年~45年
■ 3度目または2度目の塗装
この時期では、再塗装をしていてもスレート屋根もかなり傷んでいます。雨漏りなどがあまりしていないようなら、再塗装をしましょう。※今までも1度も再塗装をしていないようでしたら、葺き替えも視野に入れて検討すべきです。
4-5. 築年数46年以上
■ 屋根の葺き替え
ほとんどスレート屋根の寿命は過ぎている状況です。これからもその自宅にお住まいになるのなら、必ず屋根の葺き替えをしましょう。または、これを機に住宅をリフォームされるのも1つの選択肢です。
5. メンテナンス費用の相場(目安)
屋根の葺き替え | 80万円~270万円(足場代を含む) |
屋根カバー工法 | 30万円~180万円(足場代を含む) |
屋根塗装 | 35万円~120万円(足場代を含む) |
屋根修理・補修 | 3万円~100万円(足場代を含む) |
※ 10坪~30坪の範囲で計算しています。
※ 屋根の勾配や下地の状態によっては、上記範囲外になることもあります。
※ 一般的な品質材料での相場です。特殊な材料の場合は除きます。
6. よくある質問
ここで、皆さまからよくいただく、主な質問を3つご紹介します。
6-1. 自分でスレートを塗装しても大丈夫ですか?
【答え】 ご自分で塗装されるのは、あまりオススメできません。その理由は3つです。
① 慣れと経験がないと、塗料がスレートにしっかり定着しないから
② 屋根構造を熟知していないと、スレートを割ってしまうから
③ 屋根から落下して怪我をする可能性があるから
塗装作業は、見た目よりハードで経験を必要とする業務です。素人の方が手を出すと「安物買いの銭失い」になる可能性が大きいです。
6-2. スレート塗装と屋根の葺き替え、どっちがいいのですか?
【答え】 築年数とスレートの経年劣化の進み具合を天秤に掛け、バランス良く判断すべきです。例えば「スレートの塗装だけが傷んでいる」ならスレート塗装を・・・、「築年数が50年を超えている」なら屋根の葺き替えを・・・、という感じで判断しましょう。
6-3. アスベストに危険はないのですか?
【答え】 確かにアスベストは健康に害を及ぼす物質ですが、飛散によって口や鼻から浸入し肺まで達しない限り、人体に害を及ぼす危険はありません。だから屋根の葺き替えをしない限り、つまり通常の生活を続ける限りにおいては、自宅屋根がアスベストを含んだスレートだからといって、慌てて対策を考える必要もありません。
自宅の屋根がアスベストのスレート屋根だからと言って、家の持ち主が悪いわけではありません。あなたが自宅を建てた頃(平成18年以前)は、そんな毒性があるなんて、誰も知らなかったのですから。
屋根を葺き替える際に、そのことを屋根修理業者に伝えるだけでOKです。(伝えなくても建築関係者なら分かるでしょうが)アスベスト対策は、全て屋根修理の専門家がやってくれます。
7. まとめ
スレート屋根について、その基本知識やメンテナンス方法について、お話ししましたが、参考になったでしょうか?
私が建築業界に入った頃、スレート屋根は「早い、安い、うまい、3拍子揃っている」と言われていました。徐々にその人気はガルバニウムに移行してきましたが、その手軽さから今も尚、スレートの需要は健在です。
スレート屋根の葺き替えをお考えの方は、この記事を参考にしていただければ幸いです。
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