ガルバニウム鋼板とは・・・?
最近は、建築界でも「ガルバニウム鋼板」という言葉をよく耳にするようになりました。
屋根業者も盛んに勧めるようになり「ガルバリウム鋼板屋根ってなんだろう」と、気になっているのではありませんか?屋根のリフォームをお考えでしたら、すぐにでも知っておくべき内容です。
今回の記事では、1000件以上の屋根修理を行なった私の経験を元に、ガルバリウム鋼板屋根の特徴と他の屋根材との比較、その費用などについてお話しします。
また最後の方で、あなたの屋根を無料でガルバニウム屋根に葺き替える秘密の裏技もお教えしますので、楽しみにして下さい。
それではまず、ガルバリウム鋼板屋根の特徴からいきましょう。
目次
目次
1. ガルバリウム鋼板とは
「ガルバニウム」とは、金属名称だと思われている方がほとんどだと思いますが、正式には日鉄住金鋼板株式会社の製品名です。
ガルバリウム鋼板は、アルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%のアルミ亜鉛合金をメッキした合金鋼板です。元々はアメリカの会社が開発した製品で、現在は世界中で生産製造されています。
ガルバリウム鋼板の断面図
それでは、分かりやすく他の屋根材と、その特徴を比較してみましょう。
2. ガルバリウム鋼板屋根の特徴
2-1. 金属なのに錆びにくい
一般的なトタンである亜鉛メッキ鋼板と比べるとの約4倍の防錆性がある。
2-2. 金属なのに軽い
日本瓦の約1/6の軽さです。そのため、耐震性にも優れています。
2-3. 金属なのに雨音がしにくい
グレードの高い石粒付きのガルバニウム材を使用するか、工事方法を変更すれば、かなり雨音を和らげることができます。
2-4. 金属なのに断熱性が良い
断熱性(熱反射性)塗料を塗った、特殊塗料コーティングのガルバニウム鋼板があります。これにより、断熱性もはかなり良くなっています。
2-5. メンテナンスが不要
ガルバリウム鋼板のメーカー保証は10年~30年、かなり錆びにくく頑丈な金属材質です。
3. 他の屋根材との比較
3-1. 防錆性
屋根材 | 防錆性 |
ガルバリウム鋼板 | △~○ |
トタン | × |
スレート | ◎ |
セメント瓦 | ◎ |
日本瓦 | ◎ |
スレートやセメント瓦、日本瓦の3つは金属ではないので錆びません。ガルバリウム鋼板はトタンと比べれると圧倒的に錆びにくいですが、キズ部分やビス止め部分、切断面は錆びることもあります。
しかし、丁寧で腕のいいガルバリウム鋼板業者に依頼すれば、錆びに関する危険性は、かなり低減します。
3-2. 軽量(耐震性)
屋根材 | 軽量(耐震性) |
ガルバリウム鋼板 | ◎ |
トタン | ◎ |
スレート | ○ |
セメント瓦 | △ |
日本瓦 | × |
※軽くなれば、その分地震による揺れにも強くなります。
ガルバニウムは、スレートやセメント瓦、日本瓦より断然軽量ですが、トタンよりは若干重いです。
3-3. 防音性
屋根材 | 防音性 |
ガルバリウム鋼板 | △~○ |
トタン | × |
スレート | ○ |
セメント瓦 | ◎ |
日本瓦 | ◎ |
ガルバリウム鋼板は金属なので、雨音はどうしてもスレートやセメント瓦、日本瓦と比べて大きくなりがちです。その防音対策として表面に石粒を付着させたガルバリウム鋼板や下地に防音材を敷く方法があります。
3-4. 断熱性
屋根材 | 断熱性 |
ガルバリウム鋼板 | ×~○ |
トタン | × |
スレート | △ |
セメント瓦 | ◎ |
日本瓦 | ◎ |
スレートやセメント瓦、日本瓦はそれ自体に断熱機能があるが、ガルバリウム鋼板は金属なので、断熱機能はほぼありません。
その対策としてガルバリウム鋼板の真下や屋根裏に断熱材を施工する方法があります。また、屋根と鋼板の間に空間を作り、家屋に熱を直に伝えない工法などもあります。
3-5. メンテナンス性
屋根材 | メンテナンス性 |
ガルバリウム鋼板 | 20年~50年 |
トタン | 10年~20年 |
スレート | 20年~25年 |
セメント瓦 | 30年~40年 |
日本瓦 | 50年~100年 |
4. 屋根をガルバリウム鋼板に変更するメリットとデメリット
4-1. 明確な2つのメリット
・ 軽量だから耐震性が高い。
・ 防錆性が高い。
4-2. その他、条件付きのメリット
・ 防音性が高い
条件:ハイグレード版のガルバリウム鋼板を使用するか、追加での防音工事が必要。
・ 断熱性が高い
条件:断熱材の工事が追加で必要。
・ 耐久性が高い
条件:腕のいい職人による工事が必要。
4-3. デメリット
追加の工事で、若干の費用がかかります。防音性も断熱性も追加工事が必要になります。つまり費用も追加で掛かるということです。
さらに一番のメリットと思われている防錆性や耐久性もガルバリウム鋼板屋根の特性をよく理解している腕のいい職人が行なわないと、錆びて痛む可能性が高いです。また、優秀な職人費用は他業者より割高です。
しかし、この勢いでガルバリウム鋼板屋根が普及していくと、スレート(コロニアル)のように、ほとんどの職人がその工事を経験することになりますので、今後は追加工事もオプションではなく、標準工事の中に盛り込まれる可能性があります。
私の予想では、そうなるまで、あまり時間は掛からないと考えます。
しかし、追加工事が必要でありながら、なぜガルバリウム鋼板屋根の評判は相変わらず高いのか?種明かしをすると、ただ単に業者がガルバリウム鋼板屋根を売りたいからに過ぎません。
まだ日本では馴染みのない屋根材で取扱業者が少ないので、高値で売れるのです。そのため、ネット上ではガルバニウム至上主義のホームページや広告、お客様の声で溢れています。それらを見た方がその内容を完全に信じてしまい、評判がいい可能性も否定できません。
4-4. じゃあ結局、ガルバリウム鋼板屋根は良いの、悪いの?
結論から言います。新築時にガルバリウム鋼板屋根を葺くのであれば、大きなメリットとなりますので私も推薦します。しかし、屋根のリフォーム時にガルバリウム鋼板屋根への重ね葺き(カバー工法)を行うのであれば、あまりお奨めはできません。
その理由は、多額な費用と、しっかりと施工できる業者がまだ少ないからです。一般的なイメージでは、新築時の業者と屋根修理業者は同じ業界と思われていますが、実はちょっと異なる別業界です。
何もない状態から屋根を施工する技術と、既存の屋根材がある状態から修理する技術は、費用も含めてかなり異なります。
分かりやすく身近な例でお話ししますと、屋根新設工事の職人さんは買ってきた新品プラモデルを作る人です。
屋根葺き替え工事の職人さんは、そのできたプラモデルを金槌で壊した後、再度きれいに作り直すことができる人。求められる技能や経験は歴然としています。
極力、既存の屋根材の修理や塗装で済ませることをおススメします。そのほうが費用対効果は高いのは間違いないからです。
4-5. あなたの屋根を「無料」でガルバニウム鋼板に葺き替える秘密の裏技
しかし、もしもこの葺き替えの行程に「屋根の修理」が絡むのであれば、話は別です。ここだけのお話ですが、無料でガルバニウム鋼板屋根を葺き替えることができるかもしれません。
その理由は火災保険の「風災補償」です。「風災」というと、大きな災害をイメージされると思いますが、普通の突風や強風でも「風災」にあたります。
もしも、すでに火災保険に加入済みの方は必ず「必見!火災保険を使って屋根修理を無料で行う方法」を目を通してみてください。
こちらの記事経由で、ご自宅の屋根をガルバニウム鋼板屋根に葺き替えた方が多数いらっしゃいます。そして、私たちがその工事を請け負わせていただいたことも事実です。
5. 費用の相場(目安)
・屋根の葺き替えを前提とした費用目安です。
・新築でガルバリウム鋼板をお考えの方には参考になりません。
・費用目安は既存屋根材の撤去処分・足場代・野地板などの交換費用、その他諸経費
が含まれる総額で、実質費用です。
・一般的な住宅である10坪~30坪で計算しています。
日本瓦 → ガルバリウム鋼板 | 50,000円~80,000円/坪 |
15,200円~24,300円/㎡ | |
一般的な住宅では50万円~240万円 | |
スレート → ガルバリウム鋼板 | 30,000円~60,000円/坪 |
9,100円~18,200円/㎡ | |
一般的な住宅では30万円~180万円 |
陸屋根に使用しても、ガルバリウム鋼板は錆びにくいの?
陸屋根とは傾斜のない水平な屋根のことです。残念ですが、陸屋根にはガルバリウム鋼板は向いていません。いくら防錆性に優れているとはいえ、はやりガルバリウム鋼板は金属なので、水たまりが多い陸屋根に取り付けると錆びてしまいます 。
6. ガルバリウム鋼板屋根の工事概要
6-1. 金属屋根(ガルバリウム鋼板)カバー工法
6-2. 工事の流れ
1. スレートの撤去
まずは、スレートを全て撤去します。丁寧に1枚1枚剥がしていきます。
2. ルーフィング
下葺き材(ルーフィング)を葺く
3. ガルバリウム鋼板の設置
最後にガルバリウム鋼板をきれいに設置する
6-3. 工事の完了
4. 完了
新築のように生まれ変わりました!
7. ガルバリム鋼板に葺き替える時は、業者選びが大切!
ここまで話しておきながら水を差すようで悪いのですが、もしも、あなたがガルバリウム鋼板屋根に大きな期待をしているのであれば、少しだけ待って下さい。
いかにガルバニウム鋼板屋根といえども、技術が伴わない業者に施工を依頼すれば、期待はずれの結果になってしまいます。
いくら素晴らしい製品でも、それを施工する業者に技術が伴っていないと、その性能を発揮することはできません。洗濯機や冷蔵庫とは違うのです。
洗濯機や冷蔵庫はコンセントを繋げば、その性能を発揮しますが、屋根修理などの住宅リフォーム業務はそうはいきません。家屋の工事は、はめ込むだけのプラモデル製作とは次元が違います。
いくらガルバリウム鋼板で屋根を修理しても施工不良等のトラブルに巻き込まれれば、雨漏りが始まります。これこそ「宝の持ち腐れ」であり、ガルバリウム鋼板の優れた性能を発揮することはできません。
私たちが一番頭を痛めているのは、一般の方々が建築の知識を持っていないのをいいことに、いい加減な施工や手抜き工事を行うリフォーム業者が後を絶えないということです。
話がそれましたが、屋根工事で最も大切なこと。それは、高性能な屋根材を選ぶことよりも優秀な業者を探すこと、これこそが最重要です。
8. 業者を選ぶポイント
もしも、あなたが葺き替えやカバー工法以外で修理をお考えなら、下記の言葉で業者に問い合わせをしてみましょう。誰でも電話一本で簡単にできますし、一瞬でその業者の姿勢が理解できます。
「突風で屋根が壊れたのですが、安く修理していただけますか?」
そう言うだけで結構です。たとえ、突風で屋根が壊れていなくてもあえて「突風で」壊れたと伝えてください。 この問い合わせでその業者の経営姿勢が分かるだけでなく、無料で屋根を修理できる可能性も広がります。
その理由を詳しく知りたい方は「屋根修理の詐欺被害に遭わない、たった1つの確実な方法」をお読みください。
9. まとめ
私は今でも、一番のおススメの屋根材はと聞かれたら、迷わずに「ガルバニウム鋼板」と答えます。全てにおいてバランスが良く、コストパフォーマンスも高く、現時点で最高の屋根材だと言えます。
ただ、最近ネット上でガルバリウム鋼板屋根の評価がひとり歩きをしており「ガルバニウムを選べば全て安泰」という雰囲気が蔓延していますので、それに対する警鐘として、この記事を書かせていただきました。
決してガルバリウム鋼板屋根が悪いということではありません。実際、非常に高性能で優れた屋根材です。
しかし、いくら高品質な屋根材でも施工業者が手抜き工事を行えば、その性能を完全に発揮することはできない、という事を理解していただければ幸いです。
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