「家を建てたいけど、屋根材はどれを使うのがベストだろう?」これは本当に悩むところです。
屋根材は、室内を雨風から守ってくれる大切な基本部位であり、最も厳しい環境に晒される箇所でもあります。
普段の生活で屋根材のことを気にする機会はほとんどありません。よって、その選定は業者任せになりがちですが、彼らが勧める屋根材で本当に良いのでしょうか?
もしかしたら、在庫を使い切るために、その屋根材を勧めているのかもしれません!本当に正しい屋根材を選ぶには、あなたも屋根材に対する基本的な知識を持つ必要があります。
今回の記事では、屋根材選びのポイントとその比較、最後に無料で屋根材を修理する秘密の方法についてお話しします。ぜひ参考にして、あなたのご自宅に一番良い屋根材を選んで下さい。
目次
1. 屋根材選びのポイント
屋根材選びに困ったら、下記のポイントに的を絞れば、スムーズに選ぶことができます。
① 強さ
② 寿命年数
③ 重さ
④ デザイン
⑤ メンテナンス
それでは、主な屋根材ごとに、以下の順番にて、そのポイントを説明させていただきます。
2. スレート
スレートとは、本来、粘板岩を薄く加工した板を指します。粘板岩を材料とするのが「天然スレート」と呼ばれるのに対して、セメントと人工繊維や天然繊維を材料にして薄く加工後、着色塗装したものが「化粧スレート」と呼ばれています。
以前は、セメントと石綿(アスベスト)を材料とした「石綿スレート」が主流でしたが、現在は健康問題のため、製造されていません。
今ではスレートと言えば、石綿(アスベスト)を含まない「化粧スレート」を指します。天然スレートは高価なため、化粧スレートが一般的です。日本瓦と比べると軽くて、ある程度耐久性もあるため、多くの住宅の屋根材として使用されています。
ちなみによく耳にするコロニアルやカラーベストは、この化粧スレートの商品名です。分かりやすく説明すると「頭痛薬」がスレートなら、「バファリン」はコロニアルやカラーベストとなります。
2-1. スレートの特徴
ここでは、スレートの主な3つの特徴をお伝えします。
① 軽量で安価
日本瓦に比べて軽量のため、住宅の耐震性が低下しにくく、トタン屋根よりも耐久性があります。また、温暖差による収縮も少なく、比較的安価であることがスレート屋根材の大きな特徴と言えます。
② 色合いが豊富
色合いもバリエーションが豊富にあり、お好みの色を選ぶことができるので、色にこだわりがある方には打ってつけの屋根材です。デザインもスッキリとしていて軽快感があり、人気の屋根材と言えます。
③ メンテナンスが必要
しかし、一方でメンテナンスには手間とコストが掛かります。特にスレートは塗装によって、その機能が保たれていますので、定期的な塗装が必須となります。
■ 石綿スレートについて
石綿スレートは、現在製造されておりませんので、特徴を省略いたしますが、屋根の葺き替えで石綿スレートを廃棄される場合は、特別な廃棄方法をしなければならないので、その注意が必要です。古いカラーベストやコロニアルには、石綿(アスベスト)が含まれている可能性があります。
3. 日本瓦
これは、古くから日本家屋に使用されていて、粘土を使った焼きものの屋根材です。その製造工程の違いで、表面に釉薬が塗られているのが釉薬瓦(ゆうやくがわら)、塗られていないのが無釉瓦(むゆうがわら)に大きく2つに分けられます。
3-1. 釉薬瓦(陶器瓦)について
釉薬瓦(ゆうやくがわら)は、またの名を陶器瓦ともいわれ、瓦形の粘土に釉薬をかけて、窯の中で焼き上げる瓦のことです。表面が釉薬でガラス状になっているので、雨水が浸み込まず、非常に耐久性が高い瓦です。そのため、瓦自体はメンテナンスフリーです。
釉薬で表面を覆うので、色も豊富に選べます。形は、粘土を成型するので、屋根の形状、デザイン、好みに合わせられる利点もあります。近年では、和風住宅だけでなく洋風住宅でも多く用いられるようになりました。
3-2. 無釉瓦(むゆうがわら)について
無釉瓦は「釉薬(ゆうやく)」をかけず、成形した粘土をそのまま窯の中で焼き上げた瓦のことです。代表的な無釉瓦には、いぶし瓦と素焼き瓦があります。
■ いぶし瓦
いぶし瓦は、釉薬をかけずに焼き、松材・松葉でいぶすことから、いぶし瓦と呼ばれています。瓦全体が深い銀色の瓦です。釉薬瓦に比べ、その耐久性は低下しますが、デザインや風合いが和風住宅の屋根にピッタリなため、純日本建築の建物や本格的な和風住宅の屋根に多く使用されています。
■ 素焼き瓦
素焼き瓦は、釉薬やいぶしも施さず、そのまま窯の中で焼く、自然の色合いが特徴の瓦です。焼くときに酸化現象のために赤系の色になるので、赤瓦とも呼ばれています。明るい色合いなので、洋風住宅によく似合います。代表的な素焼き瓦は、スペイン瓦が有名です。
3-3. 日本瓦の特徴
ここでは、主な3つの日本瓦の特徴をお伝えします。
■ 重量がある
日本瓦は、粘土を成型して焼いた瓦です。そのため、他の屋根材より重量が重くなります。よって、住宅の耐震性にも考慮して慎重に選ぶ必要があります。一部の建築家からは、住宅の基礎や主要構造が法律通りに作られていれば、重量のある日本瓦でも、耐震性が損なわれることはないという意見もあります。
■ 耐久性がいい
一方、日本瓦は断熱性や遮音性に優れ、瓦自体は半永久的に使うことができます。また、その表面は耐久性が高く、色合いも半永久的にメンテナンス不要です。ただ、瓦自体にメンテナンスが必要ないものの、瓦の隙間を塞いでいる漆喰(しっくい)の部分には、手入れが必要になります。
■ 修理費用が高い
一度、何らかの理由で修理が必要になると、比較的修理費用が高価ですので、日本瓦を選ぶ際は、これらの特徴を考慮して選定すると良いでしょう。
4. セメント瓦
セメント瓦とは、セメントと砂などの瓦の材料をある一定の割合で混ぜたモルタルをプレス・脱水・成形し、塗料で着色した瓦です。型に押し込む日本瓦と比べて、材質が均一なので、形がほぼ同一になります。
そのため屋根にセメント瓦を並べた際は、仕上がりが美しいと評判です。製造方法の違いで厚形スレートまたはコンクリート瓦と呼ばれることもあります。
4-1. 厚形スレート
厚形スレートとは、上記のようにセメントと砂を混ぜて製造されるスレートですが、その割合は3対1のモルタルで作られています。スレートと比較して瓦が厚いので厚形スレートと呼ばれることもあります。また、厚形スレートの表面を釉薬処理したものを施釉(せゆう)セメント瓦といいます。
厚形スレートの形状には、様々の種類がありますが、最近は住宅の洋風化にともない、洋瓦型や平型がほとんどです。日本瓦型の厚形スレートは、ほとんど製造されていません。
4-2. コンクリート瓦
コンクリート瓦は、厚形スレートと同じ材料で構成されますが、厚形スレートよりセメント量が少ない2対1の硬いモルタルで製造されています。オーストラリアのモニエル社と共同開発を行い、その後日本に導入されたので、モニエル瓦とも呼ばれています。
その形は、洋瓦型と平瓦型の2種類があります。最近では、モルタルそのものに着色する方法なども開発され、色褪せ保証を銘打ったコンクリート瓦も販売されています。
4-3. セメント瓦の特徴
■ 強度が低い
厚形スレートとはいえ、はやり板状のセメント瓦なので、地震の際は割れてしまうことがあります。さらに塗装の劣化などが進むと、元々割れやすいセメント瓦が劣化によって、突風などの僅かな振動でも割れやすくなってしまいます。
■ 再塗装が必要
また、太陽光・風雨・気温差等で塗料の劣化が進むとセメント部分がむき出しになり、セメント自体の劣化も早くなります。塗料が劣化することで、セメント瓦への雨水の浸みこみが進みます。その結果、セメントの成分であるカルシウムが流出してしまう為、セメント瓦の表面に砂が浮き出てきます。
一度、カルシウム流出にまで劣化したら、塗装をしても完全に強度が回復するわけではありません。セメント瓦が色褪せてきた時点で、早期に塗装修理をする必要があります。
5. トタン屋根
トタン屋根とは、亜鉛をめっきした薄い鋼板屋根材のことをいいます。鉄板だとすぐに雨で錆びてしまうため、防錆として亜鉛をめっきしています。昔からよく見かける金属系の青い屋根材は、ほとんどがトタン屋根材です。
ちなみに屋根だけに限らず、「トタン」とは亜鉛めっき鋼板を意味します。その葺き方は、長方形の平板を横長に葺く一文字葺きと、棟部から軒先に向けて棒を並べたように葺く瓦棒葺きが代表的です。また、浅い勾配でも使用することができるメリットもあります。
5-1. トタン屋根の特徴
■ 軽量
薄いトタンを使用するので、他の日本瓦やセメント瓦、スレートと比べて非常に軽い屋根材と言えます。そのため、耐震性に優れています。
■ 安価
トタンは大量製造されているため、比較的安価です。また軽く、容積が小さいため、運搬費や施工費も安価で済んでいます。
■ 3つのデメリット:「サビ発生」「雨音」「室内温度の上昇」
しかし、問題が3点あります。それは「サビ発生」「雨音」「室内温度の上昇」です。サビが発生したら、腐食しやすいため、施工から10年以内で雨漏りが始まることも珍しくありません。また、雨天時は金属特有のトントンという雨音は避けられません。
加えて、断熱性能がほとんどないこともあります。そのため室内の温度も上がりやすく、夏場は電気代が余分に掛かってしまうという難点もあります。この問題点3つとさらにデザインが古めかしいため、近年ではトタン屋根を選ぶ方は減少の一途を辿っています。
6. ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板とは、アルミと亜鉛とシリコンで鉄板を両面から加工した鋼板です。1972年にアメリカで開発された新しい金属素材です。
6-1. ガルバリウム鋼板の特徴
■ 耐食性が優れている
仮にメッキ部分が傷ついても、ガルバリウム鋼板に含まれている亜鉛が、鋼板より先に錆びることで表面を覆い、鋼板のサビを防ぎます。この仕組みのため、ガルバリウム鋼板はとても耐食性(サビに強い性能)に優れています。
■ 耐熱性が高い
ガルバリウム鋼板の色は元々銀色で、熱をよく反射します。そして耐熱性があるアルミの含有量が約55%と非常に高いです。この2つの効果で非常に耐熱性が高いと言えます。
■ 加工が容易
トタン屋根と同様に薄い鋼板なので、加工がしやすく、様々な形に加工することが可能です。近年では、見た目がスレートや日本瓦にそっくりなものもあります。もちろん、近未来的なデザインのガルバリウムを選ぶことも可能です。
その優れた性能を生かして、ガルバリウム鋼板は屋根材としても注目されはじめました。しかし、当初はトタン同様、金属特有の雨音などの防音性や室内温度が上昇する断熱性にデメリットがありました。
■ デメリットの克服
しかし、そのデメリットも今では、新しい施工法と石粒付ガルバリウムで克服されつつあります。効果的な屋根の防音・断熱方法は、屋根の下地材との接地面を少なくすることで解決します。屋根材と野地板との空間を十分に取った屋根施工法で、かなりの割合で音に関するデメリットは克服されました。また、表面に吹き付けられた石粒は、雨粒を拡散させ金属特有の雨音を抑える働きがあります。
これにより、反射熱や音に対しても普通の金属屋根材と比べて抜群の性能を発揮しています。トタン屋根材とは対照的に、近年ではこのガルバリウム鋼板の屋根材を選ぶ方が急増しています。
7. 銅板の屋根材について
参考までに、錆びにくい屋根材として日本では古くから神社などで用いられているのが銅板です。今でも神社の屋根などで多く見ることができます。
銅は、年月を経ると緑青(ろくしょう)と呼ばれる青い変色が見られ、風情や趣のある屋根材として愛されてきました。また、錆びにくさも抜群で、長期間にわたって耐久性を発揮します。
50年~80年持つと言われていることと、緑青を好む人が多く、その人気は地方ではまだまだ健在です。銅板の費用と耐久性のバランスを考慮して、現在では0.35ミリまたは0.4ミリの銅板が広く一般的に使われています。
8. 屋根材別比較表
屋 |
石粒ガルバリウム鋼板 | スレート | セメント瓦 | 日本瓦 | トタン |
概 要 |
金属特有の問題「錆・雨音・室温上昇」をクリアした屋根材 | 軽量でしかも安価、また施工もしやすく現在も最も多い屋根材 | 戦後、一気に普及したが、今では和風型はほとんど製造されていない | 古くから日本建築に使用されていて、粘土を使った焼き物の屋根材 | 安価で軽量だが「防錆性・防音性・断熱性」が非常に劣る屋根材 |
強 さ |
○ | △ | ○ | ○ | × サビ穴 |
寿 命 |
50年以上 | 25年~40年 | 30年~40年 | 50年以上 | 8~10年以上 |
重 さ |
非常に軽い | 軽い | 重い | 非常に重い | 非常に軽い |
デ ザ イ ン |
非常に良い | 良い | 良い | 普通 | 劣る |
留 意 点 |
新素材のためしっかりした施工技術を持った業者が少ない | 定期的なチェックやメンテナンスを怠るとトータルコストは高くなる | 重量があるため、住宅の耐震性を十分に留意することが必須 | 雨音が大きく錆び易くて断熱性が悪い | 塗装が必須 |
9. 屋根材別のメンテナンスについて
屋 根 材 |
石粒ガルバリウム鋼板 | スレート | セメント瓦 | 日本瓦 | トタン |
時 期 |
不要 | 10年~15年 | 15年~20年 | 漆喰は随時 | 3年~5年 |
内 容 |
メンテナンスフリー | 塗装・棟板金などの交換 | 塗装・棟瓦の積み直し | 棟瓦の積み直し・漆喰補修 | サビ除去・塗装 |
費 用 |
0円 | 35~120万円 | 50~120万円 | 30~80万円 | 5~100万円 ※塗膜状態により変動 |
※上記金額は、一般的な規模(10坪~30坪)の住宅を想定して計算しています。また、実際の屋根状態や形状、勾配(傾斜)によっては上記金額の範囲外になりこともあります。あくまでも目安とお考えください。
10. 無料(0円)で屋根材を修理する秘密の裏技
もし、屋根施工の1ヵ月後に突風が吹いて屋根材が傷んでしまったら・・・台風に遭遇して屋根材が破損してしまったら・・・泣くに泣けない事態です。しかし、その可能性は否定できません。
もしかして、新しい屋根材だから保証が付いているので大丈夫と思われていませんか?
実は、ほぼすべての施工保証では、突風や台風などの天災が原因の場合は、保証の対象外となります。免責事項と言って、その損害費用は保証でカバーされることはありません。施工会社に問い合わせていただければ、確認できると思います。
しかし、ご安心下さい。そんな施工会社が保証してくれない屋根材の損害費用(修理費用)を補償してくれるのが「火災保険」です。
火災保険に加入していれば、突風や台風などの風災被害でも完全に補償してくれます。その理由は、火災保険とセットになっている「風災補償」にあります。
この「風災補償」を利用すれば、屋根材の損害費用の全額が保険でカバーされる事が多々あります。風による災害に対しては、大きな補償を発揮してくれる、自宅修理の「切り札」と言って良いでしょう。
言い換えれば、この保険の存在により、無料であなたの屋根材を修理できる可能性大なのです。
火災保険の「風災補償」について、もっと詳しく知りたい方は「必見!火災保険を使って屋根修理を無料で行う方法」の記事をご覧ください。ぜひ、この機会に火災保険に加入されることをお奨めします。
11. まとめ
今回の記事、「屋根材の種類とその特徴について」は、いかがでしたか?屋根材を選ぶ際は、初期費用だけでなくメンテナンス費用も考慮されることが肝要となります。
また、突発的な被害に遭っても、火災保険に加入していれば、大きな問題にはなりません。加入されることを強くお奨めします。
それでは、あなたの自宅にピッタリの屋根材をお選びください。
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