「困ったなあ・・・」
台風一過、玄関前に瓦の破片を見掛けたり、瓦がズレている様子を見て、屋根が心配ではありませんか?
または、ご近所から「瓦が割れてますよ」と指摘されて、瓦の修理をどうしようか迷っているのでは?
瓦にヒビや割れが見られる場合は、すぐに修理されるべきです。放っておくと、その見た目以上に、雨漏りや屋根材が傷む原因となります。
この記事では、自分で瓦を修理する方法と、台風後の屋根の状態を確認する裏技についてお話しします。瓦の修理を業者にお願いする時の注意点についてもご説明しますので、ぜひ参考にして下さい。
目次
1. 瓦を修理せずに放っておくと・・・
ここでは最悪の場合についてお話しします。上の写真にもある屋根全体の崩壊です。
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● 野地板が大量の水分により腐食してブヨブヨになり、強度が低下します。
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● 屋根の骨子である垂木にまで雨水が達し、こちらも腐食により弱くなります。
↓
● 屋根全体の重みで次第に形が歪み、やがて屋根自体が崩落します。
まるで大地震にでも遭遇したかのように屋根が崩壊し、大きな被害に発展します。
確かに、上の写真のような大被害はそうそうありませんが、雨漏りの箇所によっては、長い時間放置していると、この一歩手前の状態になることも珍しくありません。瓦の異常に気付いたら、早急に修理の手配をオススメします。
最初に、自分で瓦の修理をする場合の手順についてお話しします。
2. 自分で瓦の修理をする場合、その3つの方法
瓦の割れやズレは雨漏り最大の原因と言って良いでしょう。早めに直さなければと思い、急いで業者に電話してもなかなか来てくれないことも・・・。そんな時は、自分で瓦を修理することも選択肢の1つです。
最近では、ホームセンターに行けば、ほとんどの材料や工具を揃えられる時代になりました。高所恐怖症でなければトライしてみてもいいかもしれません。ただし、ここで紹介する修理の手順は、“応急処置”と割り切って下さい。
タイミングを見計らい、後で業者に依頼される方がいいでしょう。また2Fや3Fの瓦を修理する場合は、転落の可能性もあります。必ず業者にご依頼下さい。
それではまず、瓦の上を歩く時に気を付けるポイントからお話しします。
● 瓦の上を歩く時のポイント
一般的な瓦には、山(凸の箇所)と谷(凹の箇所)があり、谷の中央部分や山の端が最も割れやすいスポットです。
瓦の上を歩く場合は、必ず瓦の谷部分を「縦踏み」して歩いて下さい。横踏みしたり山部分を踏むと、瓦が割れる可能性大です。瓦が1枚でも割れているならば、その他の瓦も割れやすい状態になってはずですので、集中力を切らさず、気を付けて歩いてください。
2-1. 瓦の割れを防水テープで応急処置する方法
①:割れた瓦を撤去する
まずは、割れた瓦を一旦撤去する必要があります。その時、周りの瓦を踏み割らないよう、瓦の谷部分を、できるだけ「縦踏み」して歩くよう配慮して下さい。高所作業になりますので、足元にもお気を付け下さい。
②:瓦の割れ面と防水テープを貼る箇所をキレイにする
瓦の割れ面、防水テープを貼る箇所、この2つは特にキレイに拭いて下さい。この部分が湿っていると防水テープの粘着力が大幅に低くなります。
③:防水テープを貼り、割れた瓦を元に戻す
割れた瓦に防水テープを強めに貼り、瓦を元に形に戻していきます。補強のため、二重三重にテープで補強すると良いでしょう。
④:瓦の下地である野地板を確認する
瓦の下地である野地板に破損はないか、シートは剥げていないか、ご確認下さい。破損があれば、雨漏りの原因になりますので塞ぎましょう。
⑤:瓦を元の場所に設置して完了
瓦を元の場所に戻す時には、他の瓦を踏み割ったり、ズラさないようご注意下さい。また、テープと瓦の色が違い、違和感を感じる場合には、瓦と同じ色のスプレーをして、カモフラージュしても結構です。
2-2. 割れた瓦を新品の瓦と差し替える
最も手軽な方法で、割れた瓦を取り外し、新しい瓦に差し替える作業です。瓦は固定されていないため、持ち上げれば動きますので、初めての方でも手軽にできる作業です。
ホームセンターには一般的な瓦しか置いていませんので、全く同じ瓦は手に入りにくいケースがあります。そんな時には、瓦を専門に扱っている「瓦屋」にお願いすれば、手に入ります。ただし、同じ瓦が製造中止になっているケースもあります。そんな時には、これからお話しする「パテを使って、割れた瓦を接着する方法」をお試し下さい。
2-3. パテを使って、割れた瓦を修理する方法
「パテ」を使って瓦を修理する方法は、最近はあまり見掛けなくなりました。見た目よりも大変で、結構手間が掛かる方法だからです。同じ瓦が手に入らず、防水テープによる補修よりもしっかりした接着作業を行いたい方にはオススメの方法です。
①:割れた瓦を取り除いて清掃する
割れた瓦を一旦撤去して、割れた面の水分をキレイに拭き取ります。
②:割れた面に瓦パテを丁寧に塗る
割れた面に瓦パテを塗り、瓦をしっかりと接着させて下さい。はみ出したパテはヘラや雑巾などを使って取り除いて下さい。瓦の割れ面がより滑らかになり、仕上がりも美しくなります。
③:瓦の下地をキレイに清掃する
取り除いた瓦の下地をキレイに清掃しますが、野地板に破損はないか、シートは剥げていないか、ご確認下さい。破損があれば、雨漏りの原因になりますので塞ぎましょう。
④:パテで補修した瓦の下支えをアルミニウム鋼板で作る
瓦パテのみの修理だと強度の面で不安ですので、瓦をサポートするために下支えを作ります。まずは、曲げることができる堅めのアルミニウム鋼板を準備します。瓦より少し小さめの大きさがよいでしょう。瓦のカーブに沿って曲げていきます。この曲げ角度が瓦のカーブに合わないと、瓦パテが乾燥する前に接着面が剥がれますので、しっかりと瓦のカーブに合わせて曲げて下さい。
※ 初心者には少し難しい作業かもしれません。
⑤:元に戻して完了
瓦の形に曲げたアルミニウム鋼板をパテで修理した瓦の下に敷き、設置して完了です。
【注意事項】 パテで修理した瓦には絶対にクギを打って固定しないで下さい。修理した瓦は強度が低いため、その衝撃で割れる危険性があります。
3. DIYで瓦を修理した時に掛かる費用
上で説明した、3つの修理方法に掛かる費用についてお話しします。
3-1. 防水テープによる修理の費用
● 防水テープ:約500円~1,000円
おススメの防水テープは「ニトムズ-J2170-防水アルミテープ」です。
● 瓦用・屋根スプレー:約800円
オススメのスプレーは「アサヒペンのトタン・かわら用 修理スプレー 」です。
総額:約1,800円
3-2. 瓦の取替えに掛かる費用
● 新品の瓦:1枚-約300~800円
3-3. パテによる瓦修理に掛かる費用
● 瓦パテ:約770円
ホームセンターで購入できる一般的な「瓦パテ」です。
● アルミニウム鋼板:約1,800円
ホームセンターで購入できる一般的な「アルミニウム鋼板」です。
● 金切りバサミ:約1,200円
ホームセンターで購入できる一般的な「金切りバサミ」です。
総額:約3,000円
4. 台風後に業者が行う、瓦の修理方法とその手順
では、プロの屋根業者は、どのようにして瓦の修理を行っているのか?その方法とは、ズバリ「瓦の交換」です。必ず、瓦の交換作業を行ないます。これから写真付きで、その作業手順をご紹介します。
4-1. 割れた瓦を撤去する
まず、割れた瓦を取り除きますが、他の瓦を割らないよう瓦の谷部分を「縦踏み」しながら移動します。
4-2. 瓦の下地を確認
取り除いた瓦の下地をキレイに清掃します。破損はないか、シートは剥げていないかも確認します。破損があれば、雨漏りの原因になりますので、下地の修理も行ないます。
4-3. 新品の瓦を取り付ける
新品の瓦を設置します。雨水の流れ具合を判断して、シーリングが必要であれば、そちらの作業も行います。
5. 業者が行う瓦の修理と、その費用相場
瓦1枚 交換工事 | 約10,000~30,000円 |
※こちらは、瓦1枚のみ交換の金額です。複数枚を交換する場合、もちろんその金額は上がります。また、交換の必要がある瓦がかなり多い場合には、屋根自体が被害を受けている可能性が大きいので、屋根の葺き替え工事をおススメすることもあります。
大風でお隣から物が落ちてきて瓦が壊れた場合は、お隣に弁償してもらえるの?結論から申し上げますが、基本的には弁償してもらえないと思った方がよいでしょう。法的には、通常の風で物が落下する危険性をお隣さんが承知していた場合は、修理代を支払う責任があるそうです。しかし、それは一般論で、現実にそのようなケースはまずありませんし、もしあったと仮定しても、お隣さんが承知していたことを立証すること自体、無理があります。これに風などの自然災害が絡むと、その立証はまず不可能です。では、お隣から台風などで物が飛んできて、あなたの自宅が被害を受けても、何もできないのか?我慢するしかないのか、という問題ですが・・・正直、ここは“自然災害による不可抗力である”と考えるしかありません。しかし、そのような緊急時に役に立つのが「火災保険」です!火災保険の「風災補償」を使えば、風による被害なので、お隣の物が飛んできた場合でも、相手が誰か分からなくても、その修理費用は全て保険会社が代わりに支払ってくれます。火災保険の風災補償のことを詳しく知りたい方は「必見!火災保険を使って屋根修理を無料で行う方法」でその詳細をお話ししていますので、よろしければご活用下さい。
6. 台風後、業者を選ぶ時に気を付けたい、3つの心得!
6-1. 屋根業者ではなく、「屋根修理業者」に屋根を確認してもらう
DIYで河原を修理する方法を中心に紹介してきましたが、私は正直あまりオススメできません。高い屋根に滑りやすい瓦、慣れない場所と3拍子揃えば、危険であることは明白です。
私なら、屋根の状態を確認する事も兼ねて「屋根修理業者」に無料見積もりを取ってもらいます。これは、台風後の屋根の状態を無料で確認できる、最高のシークレットです!
屋根業者と「屋根修理業者」って、どう違うの?と思われたあなた、素晴らしい質問です。
屋根業者とは、屋根の葺き替えなどの屋根自体を全く新しく作り変える施工を主要にしている業者です。大型の工事になるため、専門職人も多く抱えています。職人がたくさんいるということは、必然的に人件費が多めに掛かることを意味します。瓦修理などの小さな工事は、あまりやりたがらない傾向にあります。
そして、屋根修理業者は、屋根を修理する業務が主要です。屋根の修理とは、瓦や漆喰、雨漏の修理など、小型の工事が主となります。少数精鋭制の業者なので、ちょっとした工事でも迅速に対応してくれます。
あなたの要望と合致する業者はどちらでしょうか?もうお分かりですよね。この記事で紹介したような小規模の瓦修理なら、屋根修理業者に相談する方がよいです。
また、修理の練度という面から見ても、私は屋根修理業者を推薦します。なぜならば、屋根を葺き替える技術と、屋根を修理する技術とは、全く異なるものだからです。
屋根材を全て撤去してゼロから施工する技術は、いわば“画家”のような業務であり、瓦を修理する技術は“絵画修復士”のような仕事です。「絵画をキレイに仕上げる」という結果だけなら全く同じですが、その作業工程はかなり異なります。
6-2. 訪問販売業者には、頼まない方がよい!
ピンポンとチャイム鳴り、「お近くの○○様宅で工事させていただく者です。ごあいさつに参りました」と訪問してくる業者がいます。
「お宅の屋根を拝見しましたが、瓦にヒビや割れが見られます。この近くで工事をしていますので、今ならお安くしますけど、いかがでしょう。ぜひ、屋根を一度拝見させてもらえませんか。」そう言ってくる業者は、悪徳業者なのか?それとも善良な業者なのか?
結論から申します。それは、善良な業者ではありません。ただ単に自分の都合に合わせて営業活動をしているだけです。
落ち着いて考えてください。「ウチのお客様の修理があるので、ついでにあなたの屋根を修理します」と言っているのです。そんな無礼なことを平気で言う業者は優良だとはいえません!
実は、このような営業は修理を行う口実であり、「ウチのお客様の修理」など存在しません。つまり、虚偽の「ついで工事」をでっちあげているのです。私も若い頃は、よく会社の上司にやらされていましたので分かります(汗)。平然と嘘をつく業者に、優良な業者はいません!
6-3. 優良業者は電話1本で見分けられます
悪徳業者の情報は、インターネットで数多く見つけることができます。しかし情報が多すぎて、どの業者が良いのか、分からなくなることもあります。
そんなときは逆転の発想で、悪徳業者を探すのではなく、「優良業者を探す」のです。以前ご紹介した火災保険の「風災補償」を利用すると、電話1本で優良業者を探し出すことができます。
やり方は至って簡単、「先日の大風で瓦が壊れたのですが、安く修理していただけませんか?」と電話を掛けるだけです。誰でも簡単にできます。
ここで重要なのは、例え大風で壊れていなかったとしても、この言葉で電話をすることです。
なぜ、この電話で、その業者が優良であるかの判断ができるのか、その理由は「屋根修理の詐欺被害に遭わない、たった1つの確実な方法」を読んでいただければ、納得していただけると思います。
6-4. 火災保険の「風災補償」を、動画とマンンガで確認
最後に、火災保険の「風災補償」について、1分の動画で確認をします。
また、火災保険を使って、0円で家を修理する方法をマンガにしましたので、以下をクリックして読んで下さい。
7. まとめ
この記事では、自分で瓦の修理をする方法と、台風後に屋根を確認する裏技についてお話ししました。「業者を選ぶ時に気を付ける3つのポイント」をご覧いただき、早速瓦を修理していただけると幸いです。
瓦の修理は、できるだけ無料で行うことが肝要になります。火災保険の「風災補償」を使えば、0円で瓦を修理することは可能ですので、こちらの方法もぜひ参考にして下さい。
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