屋根の景観が古くなり、ご近所の目が気になっていませんか?
また、自宅の定期点検で「屋根の塗装が必要ですよ」と言われ、本当にそうかと迷っていませんか?
そのままにしておくと、雨漏りが発生する可能性が発生します。最悪の場合、屋根の葺き替え工事(全面張替)をしなければならないかもしれません。
実は、屋根の塗り替え時期は、ある程度、自分で判断できるものです。
しかし、自分で塗装しようにもその方法が分からないし、塗装業者を選ぼうにも何を基準にして選んで良いかも分かりません。
そこで今回の記事では、自分で屋根の塗装をする時に知っておくと役に立つ、基本的なポイントについてお話しします。
目次
目次
1. 屋根塗装について
近年のDIYブームで、ご自分で屋根にペンキを塗る作業が見直されています。美観が良くなることはもちろんですが、そのようなメリットだけではなく、実はデメリットもあります。これから、それぞれについて簡単に説明していきます。
1-1. 屋根塗装のメリット
① 防錆性が高まる
棟板金やトタン屋根などの錆の発生を抑えます。
② 防水性が高まる
現在、雨漏りがある方は、塗装だけで止める事はできませんが、将来的な雨漏りのリスクが低減される事は間違いありません。
③ 屋根材を保護できる
スレートや金属部分の腐食を防止することができ、屋根の葺き替え工事が不要、または延期できます。
④ 抗菌性が高まる
スレートのコケや、屋根の下地部分のカビを抑えます。
⑤ 遮熱性・断熱性が高まる
遮熱性・・・夏場は屋根表面から屋根裏や室内への熱が伝わりにくくなりますので、室温の上昇を抑えます。
断熱性・・・冬場は室内から屋根表面への熱も伝わりにくくなりますので、室温の下降を抑えます。結果、1年中快適な室温を保つことができます。
遮熱とは、熱を反射させて熱の上昇を防ぐことです。一方、断熱とは、熱を温度が低い方に移動させないことです。もっと詳しくその違いを知りたい方は下記URLでご覧ください。
遮熱と断熱:http://gainapaint.jp/gaina/about/tigai.html
1-2. 屋根塗装のデメリット
① 雨漏りがする
塗装の仕方によっては、屋根の塗装が原因で雨漏りが発生することがあります。その理由は素人の方が失敗しがちな「塗りすぎ」です。また激安業者や悪徳業者も手間が掛からないため、この塗料の「塗りすぎ」を行うことがあります。
なぜ、塗りすぎると、雨漏りになるのか、それは「毛細管現象の原理」が働くからです。この現象については、説明すると、ゆうに記事1回分になりますので割愛させていただきますが、塗装を塗りすぎると、逆に雨漏りがしやすくなることだけは覚えておいて下さい。
② 塗装が剥がれる
塗装前には高圧洗浄や錆落としで屋根をキレイに洗浄しますが、洗浄不足や屋根材とマッチしない塗料や安い粗悪塗料を使用したために、塗料が剥がれる場合があります。必ずスレートならスレート用の塗料を、金属屋根なら金属屋根用の塗料を使いましょう。
2. 誰でも分かる塗り替え時期の判断方法
一般的に屋根の塗り替え時期はスレート10年、トタンは5~8年といわれています。しかし、それを鵜呑みにしないでください。それはあくまでも塗装メーカーや塗装業者が言っているだけです。一応、それなりの根拠はあるようですが、それは塗料を売るための営業トークだと考えて良いでしょう。
なぜならば、屋根塗装の塗り替え時期は、屋根材や塗料だけで決まるわけではないからです。屋根材や塗料以外にも以下のことが塗り替え時期に影響しています。
① | 気象環境(直射日光・風通し・湿度など) |
② | 屋根の形状(勾配や谷樋の影響など) |
③ | 屋根の施工状態(高圧洗浄や手抜き工事による施工不足など) |
つまり、塗り替え時期には環境や形状の違いによる紫外線量と水分が大きく関わってきます。また塗り替えが2回目以上だと、前回の塗装状態も大きく影響されます。よって経過年数のみでで塗り替え時期は判断できません。
では、何を基準に判断すればいいのか。当然といえば当然なのですが、それは屋根を直接見ることです。具体的に屋根をどのような視点で見ればいいのか、レベル別に書き出してみました。
レベル①:塗装の艶(ツヤ)はあるか
左側が塗装によって艶の出たスレートで、右側が塗装前で艶のないスレート
レベル②:以前よりも色が薄くなったか?
レベル③:屋根が白くなっていないか?(チョーキング現象)
スレートの塗装がチョークの粉のように白くなる現象(チョーキング現象)
レベル④:屋根にコケやカビが発生していないか?
レベル⑤:塗装が剥がれて、屋根材自体が見えていないか?
最も費用対効果がいい塗り替えの時期は、レベル3~レベル4です。チョーキング現象が出てくると塗り替えのサインだとお考えください。
レベル3までは塗料の劣化現象ですが、レベル4のコケやカビが繁殖するということは、既に屋根材自体も水分を含み、劣化が進んでいる証拠です。
劣化した屋根材に塗装しても無意味だということはお分かりだと思います。
※劣化した屋根材に塗装すれば一時的には見栄えはよくなりますが、水分が屋根材に含まれているので短期間で塗装は剥げてしまいます。費用対効果も大変悪いです。
どうしてもご自身で屋根を見れない場合は、業者に直接登って見てもらうことをおススメします。特に2F以上の屋根は大変危険ですので、一般の方は登らない方がよいと思います。
3. 基本的な屋根塗装の手順
3-1. スレート屋根の場合
スレートは表面がザラザラしているので汚れが付きやすく、その汚れが養分になり、コケなどが生えやすい屋根材です。ひどいときは草が成長していることもあります。そうなると根が張り、雨漏りの原因になります。そうなる前に屋根を洗浄し、塗装する必要があります。
■ 安全対策をする
一番良い安全対策は、業者のように足場を組むことですが、一般の方には無理なので安全ベルトにロープを縛って、万が一の場合でも屋根から落ちないようにします。
■ 高圧洗浄機でスレートの汚れやコケを除去する
ケルヒャーの高圧洗浄機で、延長用の高圧ホースを購入すれば屋根の高圧洗浄はできます。スレートが重なっている箇所や棟板金、屋根の隅付近は 特に念入りに洗浄します。全体洗浄を最低でも2回は行って下さい。
ここで手を抜くとすぐに塗装が剥がれてしまいますので、何度も確認してください。結構な水しぶきが飛び散りますので、ご近所には気をつけましょう。乾燥時間は晴れた日に24時間以上掛けることです。
■ 棟板金は新しいものに交換する
サンダーや紙ヤスリなどで棟板金の錆びを落とす方法もありますが、手間が非常に掛かる割には錆が発生しやすく困りものです、そこで、当社では棟板金を取り外し 塗装後に新しいものと交換する方式を採用しています。また費用も交換のほうが安く済む場合が多いです。
■ 塗装しないところをマスキングする
塗装をしない箇所(破風板や鼻隠など)を保護するためにテープや新聞紙などを利用して塗料が付かないようにします。このことをマスキングといいます。場合によっては、お隣さんの住宅や車にも大きなビニールシートを被せるなどの大がかりなマスキングが必要です
■ シーラー(下塗り塗料)をスレートに塗る
シーラーとは、スレートと塗料のつなぎをよくするための塗料型の接着剤です。スレートの傷みが激しい場合は このシーラー塗りを2回行います。
■ タスペーサーを取りつける
タスペーサーとは、屋根塗装時にスレートとスレートの間に差し込む部材です。タスペーサーの役目は、スレートとスレートの間を塗料が塞いでしまうと、毛細管現象によって雨水が逆に入り込んでしまうので、スレート間に隙間を確保することです。また、この隙間にはスレート下の湿気を外部に逃がす役割もあります。
■ 細かい部分を小型ローラーで塗る (部分的な中塗り)
下塗りから最低3時間は経過させた後、塗料の中塗りを行います。スレートとスレートの重なり部分や金属部分は、大型ローラーではどうしても塗り残しが生じますので、先に小型ローラーで塗装を行います。
塗料を小型ローラーにつける際、しっかりと塗料容器の中で塗料をかき混ぜてから行います。塗料成分が容器の底に沈殿すると、色ムラになるので気をつけましょう。
■ ローラーで塗装する(中塗り)
平面部で広いところはローラーで一気に塗ります。もちろん、ローラー塗装の場合も塗料はしっかりとかき混ぜましょう。塗装順は、屋根の頂上から下へと塗っていきます。塗料の上は滑りやすく非常に危険ですから、この行程は守って下さい。
■ もう一度、ローラーで仕上げ塗りを行う
仕上げ塗りは、中塗りから2時間以上空けた後に行います。最後の工程になるので、塗り残しがないかよく確認してください。確認できれば、完了です。
3-2.トタン屋根の場合
トタン屋根の寿命は5~8年と言われています。しかし 近所のトタン屋根は築3年ぐらいでサビ出したように感じられました・・・。
錆=屋根材の寿命ではないのです。錆が出始めたら、早めの塗装が必要です。特にトタン屋根はこの塗装で寿命が決まります。
■ 安全対策をする
一番いい安全対策は業者のように足場を組むことですが、一般の方には無理なので安全ベルトにロープを縛って、万が一の場合でも屋根から落ちにくいようにします。
■ トタンの下地調整
まずは、古い剥げかけの塗料や錆を取り除きます。金属ブラシや平コテで削ります。もし、油分が付いていたらラッカー等でふき取ります。(この作業をケレンといいます)また、穴が開いていたら、補修テープやコーキングで必ず塞ぎましょう。
■ 塗装しないところをマスキングする
塗装をしない箇所(破風板や鼻隠など)を保護するためにテープや新聞紙などを利用して塗料が付かないようにします。これをマスキングといいます。場合によっては、お隣さんの住宅や車にも大きなビニールシートを被せるなどの大がかりなマスキングが必要です。
■ 穴埋めを行う
トタンのクギ穴やトタン同士の隙間は、コーキングで埋めてください。
■ サビ止め塗料(プライマー)を塗る (下塗り)
塗りにくいトタンの隅や、継ぎ目は先に刷毛で塗ります。その後、平面部分はローラーで上から下に向けて塗っていきます。最後がハジゴを掛けていた箇所になる順番で塗っていきます。
トタン屋根の場合は2回塗りも可能ですが、下塗りと中塗りと上塗りの3回塗りのほうが塗装は長持ちするので、おススメです。
■ 中塗り・上塗りを行う
下塗りから最低4時間は経過させた後に、中塗りと上塗りを行います。方法・順番は下塗りと同じです。これを最低4時間空けて2回程繰り返します。
■ 後片付け
使い終えた刷毛や容器などは、薄め液で塗料を洗い落としてください。また次回、再使用できます。最後にある程度塗料が乾いたら、マスキングテープを剥がして完了です。
4. 業者による屋根塗装費用の目安
屋根塗装費用 | 35万円~120万円(足場費用も含み) |
※ 一般的な規模の住宅屋根の塗装費用の目安です。屋根状態などで上記金額の範囲内に収まらないこともあります。
2F以上の屋根を塗装する場合は基本的に足場を組みます。しかし この足場費用が結構高額なのです。業者に「足場費用が掛かってもったいないので、外壁塗装もしましょう」と追加工事の話を持ちかけられると、何だか騙されているような気持ちになりませんか?
(※決してその業者が騙しているわけではありませんが・・・)
実は そのモヤモヤした気持ちを解消できる優れた方法が1つあります。足場を組んで、なおかつ屋根の塗装代を無料(0円)で行うという裏技です。詳しくは「足場は本当に必要なのか?その料金と相場の実情」で詳しくお伝えしています。
4-1. 足場費用を無料(0円)にする方法
築年数5年程度では、屋根の再塗装(塗り換え)で悩むことはほとんどありません。
通常は10年、20年経過してから屋根塗装を検討するものです。10年20年経過していれば、当然その期間に突風や強風や積雪にも遭遇します。それらの影響で屋根が傷んでいる可能性は十分にあります。
実は 足場費用を無料(0円)にする方法とは、すでに加入済みの火災保険の「風災補償」を使って足場を掛けるのです。
4-2. 火災保険の「風災補償」で足場費用が0円になる可能性があります
火災保険の「風災補償」はほとんどの場合、自動でついています。もちろん、屋根を修理する際の足場費用も補償されます。それどころか、業者が屋根を塗装してくれる費用も補償される可能性が高いです。
火災保険で屋根修理されると同時に屋根を塗装すれば、あなたの足場費用の負担が無料になります。もし、あなたがすでに火災保険に加入済みでしたらこの風災補償を使わない手はありません。
【注意】上記の風災補償を受けたら必ず、足場費用が補償されるわけではありません。ケースバイケースです。もっと詳しく知りたい方は「完全保存!屋根リフォーム費用の相場とそれを無料にする方法」の記事をご覧ください。
5. まとめ
この記事で、基本的な屋根の塗装手順や塗装時期の判断について、ご理解いただけたと思います。悪徳業者に騙されない方法や足場代を0円にする秘密の方法なども参考にしていただき、あなたにピッタリの塗装業者が見つかれば、これほど嬉しいことはありません。
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