母屋のそばに「離れ」を増築したいけど・・・
「母屋の横にもう1棟、離れを建てたい」または「離れでインターネットにアクセスしたいけど、ちゃんと繋がるだろうか?」と悩んでいませんか?
この記事では、母屋に「離れ」を増改築する時の基本的な知識、インターネット回線を引く時に押さえるべきポイントの2つをお話しします。
また、母屋が台風などに被災した際に、無料で修理する方法についてもご説明しますので、ぜひ参考にして下さい。
1. 母屋とは
母屋は「おもや」「もや」と2つの読み方があります。漢字で表現すれば全く同じ文字になるのですが、しかしその読み方によって全く別の意味になります。では、その「おもや」「もや」についてそれぞれご説明します。
1-1. 建物としての母屋(おもや)
私たちが普段、主に居住している建物を母屋といいます。つまり、食事や入浴、TV視聴、就寝など生活の場がある建物が母屋です。母屋の類似語には「母家:おもや」「主屋:おもや」「本屋:ほんや」等があります。
母屋とは対照的な建物には「離れ」「納屋」などがそれに当たります。昭和の時代は、離れには主に炊事場や風呂等の水を扱う部屋が設置されているのが常でした。
1-2. 西洋の母屋と離れ
西洋建築にも、母屋と離れの文化があります。その写真を以下に添付します。母屋のことを英語で「メインハウス」といいます。離れには、ガレージや倉庫が配置されることが多いようです。
1-3. 建築材としての母屋(もや)
母屋(もや)は、屋根部分の建築材の一つです。具体的な箇所は、屋根の頂上部分にある「棟木」と、それに平行して屋根下部に施工されている「軒桁」との間にあります。
棟木と軒桁には「垂木」という長い建築材が乗っていますが、その「垂木」を支える役割を果たすのが母屋(もや)です。母屋は、約900mmごとに配置され、屋根の主要な骨組みである垂木全体を支えています。
※ 以降は、建物としての母屋「おもや」についてお話しします。
2. 母屋を増改築し、「離れ」を設置する際の注意点
ここでは、母屋を増改築して、離れを新設する際、建築基準法や都市計画法、消防法などで注意すべき事柄をまとめています。実際に増改築・新設する場合は、必ず建築士に相談してご自身で確認を行なってください。
2-1. 確認申請
基本的には10㎡以上の増築には、確認申請の届出が必須となります。また、防火・準防火地域では、面積にかかわらず役所に届け出る義務が発生します。
詳しくは、「確認申請の詳細サイト」から、ご確認ください。
2-2. 建ぺい率
建ぺい率とは、建築面積の敷地面積に対する割合のことです。それぞれの建物用途や地域によって異なります。この建ぺい率を超えて増築や新設はできません。
詳しくは、「建ペい率の説明サイト」をご覧ください。
2-3. 容積率
容積率とは、建築物の延床面積の敷地面積に対する割合です。延床面積とは、建物全体の床面積のことです。階数を問わず、廊下や風呂、トイレなども含まれます。
詳しくは、「容積率の詳細サイト」で確認できます。
2-4. 北側斜線制限
北側隣地の日照の悪化を防ぐため、建築物の北側に課せられる制限のことです。詳しい内容は「北側斜線制限のサイト」をご覧ください。
2-5. 高さ制限
高さ制限とは、第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域内で、建物の高さが原則として10m又は12mまで、都市計画でその高さが制限されています。
詳しい内容は「高さ制限についての詳細サイト」をご覧ください。
2-6. 道路斜線制限
建築基準法の高さ制限の1つで、火災等の消防活動や道路の日当たり、風通しが良くなるように建物の一部に高さを制限するものです。
詳しくは、「道路斜線制限の詳細サイト」をご確認ください。
2-7. 隣地斜線制限
隣地の日当たり・風通しを維持することを目的とされています。隣地の境界線を基準に高さと勾配(角度)によって規制されます。
その詳細は「隣地斜線制限のサイト」でお話ししています。
2-8. 可分・不可分
可分・不可分とは、1つの敷地内に母屋が1つあるか、または複数あるかという事です。原則は、1敷地内に1母屋です。この状態を「不可分」といいます。つまり、2つに分けて生活できないことが原則なのです。
そして2つ母屋があることを「可分」といい、その場合は、敷地を2つに分けなければなりません。この分ける行為を分筆(ぶんぴつ)といいます。
詳しくは「可分・不可分のサイト」でご確認ください。この分筆を行なうと、次にお伝えする接道義務が新たに生じてきますので、気をつける必要があります。
2-9. 接道義務
建物を増築・新設する場合は、その敷地は必ず、幅員4m以上の2m以上道路に接していなければなりません。ここで言う道路とは、一般的な道路とは少し異なりますので、詳しい説明は「接道義務のサイト」をご覧ください。
2-10. 市街地調整区域
市街地調整区域とは、調整となっていますが、実質は「市街化を抑制する区域」のことです。基本的に一部の建物を除き、一般の人が住宅を建てることはできません。また増改築にも規制がある場合があります。詳細は「市街地調整区域サイト」に掲載されています。
2-11. 固定資産税の増額
固定資産税の計算式には、床面積も含まれているので、増築や新設をすれば、当然、固定資産税は増額されます。詳しい金額は、最寄りの税理士さんにお問い合せください。
3.「離れ」からインターネットにアクセスする2つの方法
その方法は、大きく分けて2つあります。「有線でアクセスする方法」と「無線でアクセスする方法」です。
3-1. 有線でアクセスする方法
母屋から「離れ」のパソコンまでLANケーブルで繋ぎ、インターネットに接続する方法です。以前は、配管の中にLANケーブルを通して繋ぐ方法が一般的でしたが、最近では屋外用LANケーブルの登場で、配管工事は不要になりつつあります。この方法の主な注意点は、以下の2つです。
注意点①:屋外用LANケーブルを使用すること
室内用LANケーブルで繋ぐと、雨風などですぐに劣化してしまい、接続トラブルの原因となりますので、少々価格が高くなりますが、必ず屋外用LANケーブルを使用しましょう。
また、母屋や離れとの屋外用LANケーブルの引き込み部分も雨仕舞いを考慮することを忘れずにお願いします。
注意点②:ルーターを2台以上使用しないこと
ルーターとは、簡単にいえば、1つのインターネット回線に家の回線全体を管理している装置のようなものです。
このルーターを通じて、家庭内の複数パソコンにアクセスが流れています。インターネット回線の契約は、ルーターごとになります。つまりルーターが2台あると、2回線契約になり、月々の料金も2倍になるということです。これはいただけません!
あくまでも母屋のインターネット回線の延長で「離れ」のパソコンにアクセスする事が肝要ですので、ルーターは1台、回線も1つが原則となります。
※ 屋外用LANケーブルの価格については、左のリンクからご確認下さい。
※ ルーターの接続方法については、同じく左のリンクからご確認下さい。
3-2. 無線でアクセスする方法
これは、母屋側から無線LAN親機で「離れ」のパソコンの無線LAN子機まで電波を飛ばして、インターネット回線に繋ぐという方法です。母屋と「離れ」が近い場合や障害物がない場合には有効な方法です。
※ 無線LANの価格は、左のリンクからご確認下さい。
※ 無線LANの設定方法については、同じく左のリンクからご確認下さい。
近年では、無線LANの電波も遠くまで普通に飛ばせるようになってきました。無線LANもWifi(ワイファイ)と呼ばれるのが一般的です。
また、例え微弱な電波だったとしても、それをパワーアップさせる中継器や電波を特定方向に飛ばせる無線LANアンテナも発売されています。「離れ」が遠い、障害物などがあるなどで、電波が届きにくい場合は、これらの機材を選択するという方法があります。
4. 母屋の修理費を負担金0円(無料)にする方法
母屋の屋根が、上記写真のような状態であれば、雨漏りしていなくても修理をした方がいいでしょう。母屋の傷みをそのままにしておくと、今よりもっと修理料金は高額になります。
ところで、その修理料金を限りなく無料にする究極の方法があることをご存じでしたか?もし、あなたが「火災保険」にご加入済みでしたら、火災保険の「風災補償」を使って、修理費を無料にする方法があります。
出典:http://www.sompo-japan.co.jp/kinsurance/habitation/sumai/sche/wind/
※平成26年7月1日に更新され 表示が異なっています。
4-1. 火災保険の「風災補償」について
「風災補償」とは、強い風で壊れた屋根などの修理費用を保険会社が補償することです。つまり、保険会社が修理に掛かる費用を肩代わりしてくれるので、実質0円で母屋の屋根や雨樋等を修理することができるのです。
4-2. 母屋屋根の痛み原因、そのほとんどは「強い風」
瓦の割れ・漆喰の崩れ・雨樋の破損・棟瓦の歪みは、そのほとんどが強い風によって発生しています。意外と思われるかもしれませんが、下記2点について、あまり知られていないのが現状です。
① 地上で吹く風より、2F屋根高さの風は、数倍強いこと
② 普段、母屋の屋根を見ていないので、風災に気付いていないこと
この2つを頭に入れて、以下の動画をご覧下さい。
このように春一番程度の風でも、母屋の屋根が壊れることはあります。もちろん、これも立派な「風災」です。火災保険を使って、無料で修理できます。
4-3. 風災なら風災補償で修理できる
風災補償を使うことは、火災保険の加入者なら「当然の権利」といえます。その「当然の権利」の行使には「知識」「経験」「コツ」が必要です。
具体的に「風災補償」を使って修理する方法については「必見!火災保険を使って、屋根修理を無料で行う方法」で、詳しくお話ししています。火災保険加入者には必見の情報ですので、ぜひ目をお通しください。
5. まとめ
母屋について基本的なことをお話ししました。母屋の増築や離れを新設する場合、離れにインターネット回線を引く場合には、ぜひこの記事を参考にしてください。
また、大切な母屋が台風などで被災した場合には、必ず火災保険を使って負担金0円で修理されることをオススメします。修理費が100万円と0円とでは、雲泥の差ですので。
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