【敷金返還】あなたの大切な敷金を必ず返還させる全ての手順

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「ええっ、たったのこれだけ?」

敷金は、ほぼ全額が戻ってくると想定していたのに、不動産会社から敷金返還の見積書を見て仰天していませんか?

また、もうすぐ引越しをするつもりだけど、敷金がちゃんと返ってくるのか、だんだんと心配になっているのではありませんか?

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、はっきりと通常使用の範囲内での劣化や汚れについての修理費・掃除費については基本的に貸主(大家)が負担すると明記されています。つまり、普通に生活をしている限り敷金は全額返還されるのです。

しかし、いまだに修理費や掃除費、ハウスクリーニング代として敷金から差し引かれているケースが多数あります。つまり、不動産の管理会社は、あなたの大切な敷金を必要以上に懐に入れている可能性大なのです。

そこで、今回の記事では、誰でも簡単に敷金を全額返還させる方法をステップバイステップでお話します。納得のいかない見積りが来たら、この方法で敷金を全額取り戻しましょう。

 

 

1. 敷金とは

敷金とは、家賃を滞納したり、部屋を異常に汚したり、壊したりした場合の修理費に充当するための「担保金」です。通常、賃貸借契約時に不動産の管理会社預けます。

注意して欲しい点は、敷金は商品やサービスを買って支払ったお金ではないということです。飽くまでもあなたが預けているお金なのです。

2. 押さえておくべき5つのポイント

敷金を全額返還させるには、以下の5つのポイントを覚えておく必要があります。まずはポイントに沿って、あなたの敷金が全額返還されるかを判断しましょう。

2-1. 敷金から差し引かれる名目

敷金から差し引かれる一般的な項目には「修理費」「掃除費」と退去時の「ハウスクリーニング費」などがあります。

しかし、これらは無条件で敷金から差し引かれるわけではありません。特に「修理費」や「掃除費」は通常の生活状態であれば、敷金から差し引かれてあなたが負担する義務はありません。そのことは裁判所での判例が出ています。

裁判所での判例はこちら

敷金の返還に関する新聞記事

敷金の返還に関する新聞記事

2-2. 故意か過失かで決定する

先ほど、修理箇所を無条件にあなたが負担する必要はないとお話ししました。では「修理費」「掃除費」を貸主、またはあなたのどちら側が負担するか、その判断基準は一体何でしょう?

それはズバリ!その原因が「故意」か「過失」かで決定します。では、故意か過失かをどのように判断するか、その根拠と実例についてお話ししますので、ぜひ参考にしてください。

2-3. 敷金の全額返還を要求できる可能性がある実例

裁判所の判決では故意・過失になった実例です。次のような汚れや傷みであれば、あなたが負担する必要はないといえます。

■ 床の不具合

・自然光の変色による畳表替え

・フローリングのワックス

・通常使用による床抜け ※重量物によるものは駄目

■ 天井の不具合

・ポスターなどの画びょうの穴

・軽度のタバコのヤニによる変色

・長年の使用によるクロスの剥がれ

■ 壁・柱の不具合

・テレビ・冷蔵庫後部の黒いシミ

・自然光による壁紙の変色

・ポスターなどの日焼け跡

・エアコン設置による壁穴

・ポスターなどで付いた画びょうの穴

・手垢によるシミ

■ 設備・備品の不具合

・引越しに伴うカギ交換

・紫外線劣化した網戸交換

・地震等の気象によるガラス割れ

■ 水回りの不具合

・キッチンやトイレ、フロの消臭消毒

・通常使用による排水詰まり

・通常使用による漏水

 

2-4. 敷金の全額返還が難しい実例

しかし、以下のケースなら、敷金の全額返還は難しいと考えられます。

■ 床の不具合

・家具移動による畳やフローリングのキズ

・椅子や机によるフローリングのキズやヘコミ

・タバコによる焦げ跡

・飲食物放置によるシミ

■ 天井の不具合

・タバコのヤニによる変色

・キッチン天井の油汚れ

・釘やネジによる穴

■ 壁・柱の不具合

・ペットが引っかいたキズ

・エアコン漏水を放置したことによる腐食

・タバコのヤニによる変色

・釘やネジによる穴

■ 設備・備品の不具合

・ガラスの割れ

・網戸の破れ

・カギの紛失

・ドアのヘコミ

・障子紙の破れ

■ 水回りの不具合

・フロやトイレの水垢

・キッチンの油汚れ

・フロやトイレのカビ

one-point-1ガイドライン概要の原状回復義務について

借主の原状回復義務(元に戻す義務)は、入居時と全く同じ状態に戻すという意味ではありません。賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、通常使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧する事としています。

簡単に言いますと、通常の生活で消耗・劣化したものの修理費は貸主(大家)の費用負担であり、借主であるあなたが負担する必要はないということです。

(参照:ガイドライン: http://www.mlit.go.jp/common/001016469.pdf

2-5. ハウスクリーニング代こそが一番の争点!

貸主と入居者であるあなたとの間で、最も大きな隔たりがあるのがハウスクリーニングです。退去時にしっかりと掃除をしたにも関わらず、敷金清算の見積書をみるとほとんどの場合、ハウスクリーニング代として数万円差し引かれています。

その理由は特約事項です。入居時の契約書には、ハウスクリーニング代は借主(あなた)が負担するという特約事項が書かれています。貸主側はこれを理由に敷金からハウスクリーニング代を差し引かせていただきますと主張してきます。

しかし、国土交通省のガイドラインで示されている通常の使用をされていて、キチンと通常の掃除をされていたのであれば、ハウスクリーニングの特約があってもその費用負担をしなくても済むのです。

退去時にしっかりと掃除をしてハウスクリーニングが不要と思われる場合は、不動産管理会社にその旨を伝え、ハウスクリーニング代の負担がなくなるよう事前交渉してみると効果があります。

あなたが家を綺麗に掃除して退去しようとしているのに、頼んでもいないハウスクリーニング代金を架空請求してくる可能性が大です。それでもハウスクリーニングを入れるというなら、その時の領収書と明細を提出するよう交渉といいでしょう。

3. 敷金を返還させる4つの方法

ここまで書かれていた内容とあなたの部屋を比較してみて、明らかにガイドラインにそぐわない「修理費」「掃除費」と退去時の「ハウスクリーニング代」が差し引かれた見積書だったら、次の4段階の手順で行動をとりましょう。

3-1. 直接、貸主(大家)へ連絡する

最初に不動産管理会社へ連絡するのもいいと思いますが、私は直接、貸主(大家)への連絡することをおススメします!なぜなら不動産管理会社は、一般人が不動産の契約内容に疎いのをいいことに、ゴリ押ししてくる可能性があるからです。

要するに、いくら不動産管理会社に敷金の返還額が少ないと連絡しても、肝心の貸主(大家)には全く届いておらず、不動産管理会社が敷金をピンハネするケースが多いということです。

そのようなことを防ぐためにも、ここは大元である大家さんを事前に直接押さえておいた方が話が早いということです。以下に、どのように話を進めればいいのかの電話連絡の内容例を添付しておきました。

※貸主(大家)の電話番号は入居時の契約書に必ず、書かれています。

■ 電話連絡の内容例
「太陽光によるクロス変色のための修理費○○円が敷金から差し引かれておりますが、国土交通省のガイドラインによれば、この場合は貸主側で負担すべきと指針が出ています。よって、この修理費を差し引かない○○円の敷金の返還をお願いいたします。」といった具合に具体的にお話しましょう。

3-2. 内容証明を提出する

内容証明とは「いつ、誰が、誰宛てに、その手紙の内容」を送達したか、郵便局が公式に証明してくれる手紙のことです。

「1. 手紙を出したこと」「2. 手紙を出した日付」「3. 手紙の内容」を郵便局が証明してくれます。郵便局が証明するのは、その内容の手紙を送ったという事実であり、決してその手紙内容が真実であることを証明するものではありませんが、それで十分です。

内容証明の効果として、最も大きなものに“精神的圧力”があります。相手からすれば、見慣れない特別の郵便物が届き、何か法的な効果があると思うでしょう。その結果、相手があなたの訴えを真摯に受け止め、敷金返還に繋がる可能性が高まります。

特に裁判所内の郵便局から発送されたものは、宛名に裁判所の名称が付記されますので、効果をより上げます。

3-3. 敷金返還代行業者に依頼する

今、あなたが敷金の返還額に納得できていないように、全国には同じ境遇の方がたくさんいらっしゃいます。そこにビジネスチャンスを見出したのが敷金返還代行業者です。私も以前依頼して、ほとんど手間や時間を掛けずに敷金を全額返還させることができました。

おススメのサイトを2つ紹介します。

敷金返還請求ねっと :http://www.shikikin-hw.net/

敷金ポリス :http://www.geocities.jp/shikikinpolice/

3-4. 少額訴訟を起こす

内容証明を送付しても敷金返還代行業者に依頼しても敷金が返還されない場合は、少額訴訟も1つの方法です。訴訟というとなんだか難しそうで素人にはできないと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。素人でもできるように簡素化された訴訟が少額訴訟なのですから。

4.内容証明の書き方と郵送方法

内容証明を書く前に、全般的に気をつける点をいくつかお伝えします。

内容証明は、問題が解決できず裁判になったら証拠として力を発揮しますが、一度受取人に出した後にその内容を変更、訂正することはできません。

よって、内容証明の書き方は、関係のない事柄やあいまいな表現は一切使用せず、さらに簡潔で明確に書くことが基本です。あいさつなどの前置きは一切必要ありません。

そして、内容証明の中身と事実関係が一致しているかを十分に確認します。少しでも確認できないことがあれば必ず書き直しましょう。

もし、あいまいな表現や事実と異なることが書いてあると、逆に裁判のときに不利になる可能性がありますので、十分に気をつけましょう。

・用紙に指定はない。通常はA4サイズ、B4サイズ、B5サイズが使用されています。

・文字数は1枚520文字以内で、1行20字以内、1枚26行以内

・パソコン、手書きでもOK

・使用できる文字は日本語・数字・英語(固有名詞に限る)・記号(=%+-×÷など)

以下に、下記のひな形に沿って書き方を具体的にご説明します。

 

内容証明のひな形

内容証明のひな形

 

ここをクリックすると、ひな形がダウンロードできます!

4-1. 賃貸借契約締結の事実と、預けた敷金の金額

・契約年月日の明記

・物件名の明記

・契約締結の事実の記載

・預けた敷金の金額

※上記内容は賃貸借契約書に記載されている内容と全く同じにする必要があります。

4-2. 賃貸借契約終了と、敷金返還金額の見積書到着の通知

・契約終了の日付の明記

・見積書を受け取った日付の明記

・敷金から差し引かれる予定の金額の明記

4-3.あなたが負担すべき費用

・見積書の内容で、国土交通省のガイドラインに反している項目を箇条書きで全て記入していきます。

■ 具体的な箇条書き例(壁クロス修理費用返還請求)

・貴殿は敷金返還の見積書に書かれているように、壁クロスの修理費用◯万円を私に負担させようとされています。しかし、国土交通省のガイドラインの指針では太陽光が原因による壁クロスの変色や劣化は、貸主が修理費用を負担すると謳われています。そのため私には壁クロスの修理費用として◯万円を敷金から差し引かれることを了承できません。

■ 具体的な箇条書き例(クリーニング代返還請求)

・私は退去時に通常の基本的クリーニングは済ませており、原状回復義務は果たしております。したがって、プロの清掃業者を入れるかどうかは、あくまで貸し主様の都合によるものですので、清掃業者に支払う費用は当方が負担すべきものではありません。したがいまして、私にはクリーニング費用○万円を負担する義務はありません。

4-4. あなたが返還請求する金額

・返還請求する金額の明記

・返還先銀行口座の詳細。(銀行名、支店名、口座種類、口座番号、口座名義)

・返還期日の年月日の明記

・期限内に返還請求金額を支払わない場合には少額訴訟へ移行することを記入

4-5. 差出予定の郵便局へ行く

内容証明を発送することのできる郵便局は、集配郵便局及び支社が指定した郵便局のみです。その他の郵便局ではできませんので、事前に差出予定の郵便局へ電話で確認を取っておくと良いでしょう。

なお、おススメの郵便局は、裁判所内に設置されている郵便局です。宛名に裁判所名が入ることにより、相手(管理会社)に掛かる精神的なプレッシャーが増大します。

4-6. 郵便窓口にて下記のものを提出

・手紙(通知書)3通 ※内容は全く同じもの

・封筒1通 ※差出人及び受取人の住所氏名を記載したもの

・印鑑

・内容証明の加算料金を含む利用料金

4-7. 利用料金

総額:およそ¥1,300~¥2,000

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5. 少額訴訟で敷金を返還させる方法

従来の裁判では、訴訟を起こしても費用や時間ばかりが掛かり、仮に裁判で勝ったとしても割に合わず、結局裁判そのものをあきらるケースが後を絶ちませんでした。その結果、不動産管理会社がのさばり、お客様から敷金を巻き上げる温床となっていました。

少額訴訟とは、そのような問題を解消するために、平成10年に新しい裁判の形として産声を上げた制度です。60万円以下の金銭請求に限られますが、通常訴訟で必要な専門的な法律知識も不要です。

訴状を出してから1~2カ月後に審理が開かれ、原則1回で判決が出ますので、通常訴訟より短期間で敷金を取り戻すことができます。誰でも気軽にできる裁判手続として、全国の簡易裁判所で年間計8,000件以上の訴訟があります。

私は経験者として断言しますが、以下のポイントを知っておけば、必ずあなたにも少額訴訟はできます!

5-1. 少額訴訟の流れ

  1. 訴状の作成
  2.  訴状を裁判所に提出
  3.  審理期日の決定
  4.  裁判所の書記官からの連絡、指示
  5.  相手からの書類があれば受取り
  6.  裁判所で審理を行う
  7.  判決

5-2. 訴状の準備

まずは下記より訴状書類(2枚)をダウンロードしてください。その訴状書類に沿って書き方を説明します。

訴状書類のダウンロードはこちら

■ 原告(申立人)

あなたの氏名・住所・TEL・FAXを記入します。裁判所からの書類をあなたの住所以外で受取る場合は、送達場所等の届出に別途記入。

■ 被告(相手方)

相手方の氏名・住所・TEL・FAXを記入します。

※相手方が会社の場合、謄本(全部事項証明書)に記載されている通りに記入します。謄本を手に入れる方法については「謄本 料金」などで検索をされると良いです。

謄本の取得方法について

■ 請求の趣旨

あなたが返還して欲しい金額と、退去した日を記載または訴状送達の日の翌日のどちらかを選ぶ。さらに「及び仮執行の宣言」の前にレ点でチェックを入れる。

■ 紛争の要点(請求の原因)

賃貸借契約締結の年月日・物件名・賃貸期間・1か月分の賃料・預けた敷金金額・賃貸借契約終了日・物件を明け渡した日を記入します。

その他の参考事項として、あなたの主張と貸主(大家)の主張が異なる詳細を記入します。スペースの都合で書けない場合は、「別紙の通り」と記載し、別紙に詳細を記入記載します。

【その他の参考事項:記入例①】
貴殿は敷金返還の見積書に書かれているように、壁クロスの修理費用◯万円を私に負担させようとされていますが、しかし国土交通省のガイドラインの指針では太陽光が原因による壁クロスの変色や劣化は、貸主が修理費用を負担すると謳われています。よって、私には壁クロスの修理費用として◯万円を敷金から差し引かれることを了承できません。
【その他の参考事項:記入例②】
私は退去時に通常の基本的クリーニングは済ませており、原状回復義務は果たしおります。したがってプロの清掃業者を入れるかどうかは、あくまで貸し主様の都合によるものですので、清掃業者に支払う費用は当方が負担すべきものではありません。したがって、私にはクリーニング費用○万円を負担する義務はありません。

ちなみに、裁判所ホームページに少額訴訟の訴状記入例がありますので、参考にしてください。

少額訴訟の訴状記入例はこちらをクリック!

5-3. 証拠書類の準備

証拠書類は、審理の判決に大きく影響されますので、しっかりと準備しましょう。また、審理は原則1回限りですので、期日までに下記のものをキチンと揃えておきましょう。

・賃貸借契約書

・敷金返還額の見積書

・謄本(全部事項証明書)※相手が法人である場合のみ

・退去時のハウスクリーニング代や修理費・掃除費の負担で争点になっている箇所の写真

5-4. 提訴

提起とは、裁判所に訴状を提出することです。その裁判所は原則として、相手の住所地を管轄する簡易裁判所になります。その裁判所に行き、窓口に「少額訴訟はどこで受け付けていますか?」と聞けば、どこに訴状や証拠書類を提出すればいいかを教えてもらえます。

相手の所轄裁判所の連絡先・所在地を知りたい方はこちらをご覧ください。

相手の所轄裁判所一覧はこちら

5-5. 少額訴訟に必要な費用

■ 収入印紙

申立手数料として、請求金額の約1%の額の収入印紙を訴状に貼ります。

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■ 郵便切手

約3,000円~5,000円程度ですが、管轄の裁判所によって異なります。この切手は裁判所からの訴状、呼出状、判決の送付などに使用されます。

■ 謄本(全部事項証明書)の取得手数料

600円 ※相手が法人の場合のみ必要

6. まとめ

今回の記事、「敷金を確実に返還させ、取り戻す方法」はいかがだったでしょうか?最後にもう一度言いますが、敷金は“あなたのお金”です、不動産会社のものではありません。

記事に書かれている項目を一つ一つ着実に実行していけば、必ずと言っていいほど、少額の負担で、多くの敷金を取り戻すことができます。この記事があなたのお役に立てば、これほど嬉しいことはありません。ぜひ、参考にして下さい。

 

 


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