その雨漏り調査は、本当に大丈夫?
「何度、雨漏り修理しても止まない」「まだ築数年が浅いのに雨漏りしてきた」このような状況になると心配で、雨漏り調査の依頼を検討しがちです。
でも、ちょっと待ってください!本当に有料の雨漏り調査は必要ですか?結論から申しますと「NO」です。そんなものは必要ありません。
その理由は、そもそも雨漏りの原因が複雑すぎるからです。散水調査などの短時間・少量・一定方向からの水では100%雨漏り原因は判明できません。雨は考えている以上に大量に強い勢いで、かつあらゆる方向から降っています。
この記事では、雨漏りの原因とその調査方法や詳しい内容、雨漏りを止める具体的な対策についてお話しします。最後には、無料で雨漏りを修理する裏技もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
目次
1. 雨漏りの原因
雨漏りの原因は多種多様ですが、その中でも比較的スタンダードで、件数が多い原因が次の6つになります。
1-1. 施工不良
施工不良による雨漏りの箇所には、ベランダ下部分やドーマ部分、天窓部分、谷どい部分、1F屋根と2F外壁の取り合い部分等が多いように見受けられます。その原因はほとんどが施工不良です。
具体的には雨仕舞いの作りが雑であったり、防水コーキングがしていない。または的外れな箇所にコーキングをしていたり、ルーフィングのカット方法が間違っていたりなどです。
1-2. 棟板金の剥がれや浮き
棟板金とは、スレート屋根の棟部(頂上部)に取り付けてある金属板のことです。この棟板金が突風や強風などで浮いて隙間ができると、そこから雨が侵入し、雨漏りの原因になります。また、長期間の雨風や太陽光で錆びやすくなると、固定部分がもろくなり、棟板金自体が剥がれることさえあります。
1-3. 漆喰(しっくい)の崩れやヒビ
漆喰(しっくい)とは、日本瓦などの接着や目地の充填に使用される水酸化カルシウムが主成分の粘土質のものです。この漆喰は主に屋根の棟部(屋根頂上部)に使用されているため、突風や強い風の影響を受けやすく、それが原因でヒビ割れを起こしたり、崩れが発生して雨漏りの原因になります。
特に漆喰の雨仕舞い(雨水が極力、漆喰に当たらない構造)をしっかりとしていないと、雨天の度に雨水が漆喰に当たり、漆喰が削れられ、そこが雨水の入口になり、雨漏りの原因となることが多いです。
1-4. 瓦割れやスレート浮き
瓦割れやスレートの浮きは、ほとんどは突風や強風、地震などで発生します。寒冷地では、瓦やスレート内に含まれた水分が凍り、水分の体積が膨張することで瓦を割ることもあります。そのズレや割れから雨水が浸入すると、雨漏りの原因になります。
1-5. コーキング剤の剥がれ
コーキング剤の剥がれは、経年劣化や風による振動、建材の材質が異なっている場合は、温度による膨張率(伸び縮み)の差で発生します。コーキングの剥がれによって隙間ができ、それが原因で雨漏りが発生します。
1-6. 経年劣化
屋根材などがその機能を果たせなくなった、もしくは著しく低下した状態を経年劣化といいます。屋根の最も重要な機能は、雨風をしのぐことですから、その機能が低下すれば、当然雨漏りの原因になります。
2. 雨漏り調査について
一般住宅を対象にした雨漏り調査方には以下の4つの方法があります。ビル等の鉄筋コンクリートの建物には異なった調査方法がありますが、ここでは割愛させていただきます。
2-1. 目視調査
お客様から雨漏りの状況を詳しくお伺いした後、実際に屋根に登ったり、屋根裏に入ったりして、雨ジミの箇所やカビの発生などから考察し、雨水の浸入口を特定します。
2-2. 散水調査
雨水の浸入口と推察される箇所に、ホースで散水し、雨漏りを再発させることで雨漏りの原因を特定する調査です。散水時間は10~30分程度です。
2-3. 発光液調査
雨水が浸入していると思われる箇所に発光液を流し込み、屋根裏から紫外線を当てます。発光液が漏水していると紫外線によって発光しますので、雨漏りの原因を特定する調査が可能です。
2-4. 赤外線カメラ調査
赤外線カメラとは、表面の温度差を色分けに表示できるカメラです。このカメラを雨漏り調査に応用したものが赤外線カメラ調査です。具体的には、住宅に雨水が染み込んでいれば温度差が生じるので、赤外線カメラを利用して雨漏りの原因を特定する調査法です。
最もシンプル、かつ原始的な調査は目視調査です。経験・技術・知識・ノウハウがあれば、目視調査が最も有効で、費用対効果のいい調査方法であると私は考えています。結局、雨漏り調査の精度は「調査する人間で決まる」と言うことです。他の調査方法を否定しているわけではありませんが、屋根構造や施工不良箇所、痛みやすい箇所などは、普段から接触している屋根修理業者が最も塾知している内容です。
3. 雨漏り調査をおススメしない3つの理由
4つほど雨漏り調査の方法についてお話ししましたが、私たちがおススメしている目視調査も含めて、いずれも100%雨漏り原因を特定できるわけではありません。その理由は3つあります。
3-1. 雨天時に調査できないから
雨天時に屋根に上って調査することは危険極まりありません。ましてや台風時や暴風雨時の屋根調査は自殺行為そのものと言っても過言ではありません。
3-2. 台風の再現が不可能だから
台風時の状況を意図的に100%再現できるのであれば、安全設備を整えて調査を行なえば100%雨漏りの原因を特定することは可能かもしれません。しかし、あたなの住宅でそんなことは不可能ですよね。
3-3. 莫大な費用が掛かるから
もしも、台風時の状況を100%再現しようとすれば、その調査費用は想像もできません。恐らく数千万円~数億円は掛かるのではないでしょうか。(たとえば、住宅を完全に包囲する工場建設費・その土地取得費・噴水設備費・暴風発生装置費・検査装置費など)言うまでもなく、そんな調査は全く現実味がありません。
どんなに優れた技術を駆使して雨漏り調査を行っても、実際に雨漏りしている状況下で行なわないと、その調査結果は100%であるとは言い切れません。しかし、現実には雨天時や台風時に屋根に登って調査を行なう業者は皆無と言って良いでしょう。だから、雨漏り調査で100%雨漏り原因を特定することは難しいのです。
ちなみに、原因の特定はできませんが、雨漏りをほぼ100%止める方法はあります。それは屋根の葺き替え・住宅の建て替えです。しかし、こちらは数100万円の費用が掛かってしまいます。
4. 調査費用の相場(目安)
目視調査 | 0円~30,000円(税別) |
散水調査 | 30,000円~180,000円(税別)+報告書作成費 |
発光液調査 | 100,000円~250,000円(税別)+報告書作成費 |
赤外線カメラ調査 | 150,000円~350,000円(税別)+報告書作成費 |
5. 雨漏り修理を実質0円にする方法
しかし、ここで朗報です!雨漏り原因が下記の可能性が高い場合は、負担金0円(無料)で雨漏り修理ができる可能性が高いのです。
● 瓦やスレートの割れ、ズレ
● 棟板金の剥がれや浮き
● 漆喰(しっくい)の崩れやヒビ
● コーキング剤の剥がれ
その方法とは、火災保険を使って、雨漏りの修理費用を支払う方法です。特に火災保険の「風災補償」を有効活用するのです。すでに火災保険に加入されている方は、今すぐにでも使えます。
それでは、なぜ無料(0円)で雨漏り修理できる可能性があるのか説明しましょう。
5-1. 火災保険を使って、雨漏りの修理費をカバーする方法
雨漏りの原因が施工不良でなければ、無料(0円)で雨漏り修理できる可能性が高いです。その理由は、火災保険の「風災補償」を使えば、その修理費用をカバーできるからです。
保険会社のホームページや保険証券で確認してください。火災だけでなく「風災」も補償対象であると書かれているはずです。
出典 http://www.sjnk.co.jp/kinsurance/habitation/sumai/
5-2. 風災補償とは
強い風を原因とする災害を意味します。具体的には、突風でスレートや瓦がズレたり、強風で棟板金が浮いてしまったような場合が風災に当たります。
強い風で雨漏りがし始めたのなら、その損害額(雨漏り修理費用)を風災補償でカバーできる可能性が高いといえます。カバーできるということは、実質0円で雨漏りを修理できるということです。
この風災補償は、ほとんどの火災保険・住宅総合保険に自動付帯になっていますので、おそらくあなたの火災保険にも含まれていると思います。
ご存知でない方には、ビックリな話かもしれませんが、私たちは1000件以上の保険申請をサポートさせていただき、多くの方の雨漏り修理を無料で行って参りました。よって、これらのお話しは間違いのない事実です。
5-3. 実は、風災の保険申請数が一番多い
「強い風で雨漏りが始まったから、火災保険を申請する」と聞くと、なかなかイメージできません。しかし「交通事故で自動車が壊れたから、自動車保険を申請する」と聞くと、どうでしょうか。すぐにイメージできますよね。
実は、両者の仕組みは全く同じです!
保険の仕組みでは「風で屋根が壊れて雨漏りした」は「事故」扱いです。
多くの方が「風で屋根が壊れても、火災保険を申請する」ことを躊躇されていますが「交通事故で自動車が壊れても」保険を申請することに躊躇されますか?
ただ、この「風災事故」で保険申請できることを保険会社があまり告知していないことと、「火災保険」という名称が原因で「火事以外の被災には使えないのではないか?」と勘違いをされている方が多いため、イメージできないだけです。
強い風で保険申請=交通事故で保険申請
注)両者の違いは、警察が発行する「事故証明書」の有無のみです。
強い風で保険申請することは、決して特別なことではありません。火災保険で一番申請件数が多いのが、実はこの風災事故なんです。損保ジャパン様だけで21,025件で、1日当たり約57.6人の方が「風災事故」等で保険申請されています。
出典 http://www.sompo-japan.co.jp/kinsurance/habitation/sumai/sche/wind/
※平成26年7月1日に更新され 表示が異なっています。
イメージできないことに挑戦することは、ちょっとしたきっかけが必要です。もしも今、そのきっかけであれば勇気をだして相談してみてはいかがでしょうか。
6. 全ての雨漏りが保険で修理できるわけではないけれど…
●「築50年以上で、あちこちから雨漏りしている。」
●「ベランダ下の天井から雨漏りしている。」
上記は、施工不良や経年劣化が主な原因で雨漏りしている事例です。これらは「風災」が原因でないため、基本的には火災保険で修理することはできないと言われています。
しかし、経年劣化が原因と思われている雨漏りでも、実際は風災が原因の場合が多々あります。私たちの経験では、その約8割は「経年劣化+風災」が原因の雨漏りでした。もちろん「経年劣化+風災」でも火災保険で修理できる可能性はあります。
経年劣化と思われている理由は、ご自宅が長期間に渡って、雨風や太陽光に晒されているからでしょう。しかし長期間、雨風に晒されているということは、その風が原因で雨漏りが始まったとも考えられます。
反対に長期間、雨風に晒されていながら、経年劣化だけで雨漏りが発生すると考える方が、よっぽど不自然ではないでしょうか。最初から、経年劣化だと諦めずに保険申請してみると、実質0円の無料で雨漏り修理ができるかもしれません。
この風災補償を逆手に取って施工不良が原因なのに、保険申請してもすぐにバレてしまいます。それだけで済むのならまだいいのですが、一度そのような不当な保険申請をすると、次回申請時に疑いの目で見られ、保険申請結果に悪影響を及ぼす可能性もありますので、絶対にそのような保険申請はされないでください。
7. 保険申請サポート専門業者の存在
ここまでを読むと、雨漏り修理業者を呼んで見積りを出せば、一般の方でも簡単に保険申請できそうです。
しかし、実際は様々なコツがあり、思ったような結果になる可能性は低いのが実情です。もちろん全くできなくはありませんが、保険会社の「不払い」等が話題になっている現状で、建築の知識を持たずに保険会社と交渉をすることにでもなれば、いいように丸め込まれるのは必至です。
そこで、保険申請サポートを専門にした修理業者にお任せすることを強くおススメします。その最大の理由は、雨漏りがしているという事は、かなりの高確率で雨漏り箇所以外も強い風で損害を受けている可能性が高いからです。
雨漏り箇所以外でも風災の痕跡が確認されれば、保険で修理することができます。ただの雨漏り修理業者では、保険の申請に詳しくない上に、雨漏りの箇所しか診ずに見積りを出すので、雨漏り箇所以外を保険で修理できる可能性は極端に低くなります。
このように、ただの雨漏り修理業者に依頼するより、専門業者に依頼した方が数倍のメリットがあることは理解していただけたと思います。もちろん、ご自身で保険申請をされることも可能ですが、餅は餅屋に任せて、確実な戦果を手にされる方が良い選択だと思います。
※ 専門業者についての詳しい説明は「火災保険を使って、リフォームではなく自宅の修理をする方法」の記事をご覧下さい
8. 具体的な保険申請の方法
① 専門業者・火災保険会社へ電話連絡(あなた)
② 雨漏り箇所の被災確認後、見積書(保険請求書類)の作成(専門業者)
③ 見積書(保険請求書類)を保険会社へ提出(あなた)
④ 雨漏り箇所の被災確認後、損害額の確定(保険会社側の鑑定会社)
⑤ 損害額(修理費用)の支払い(保険会社)
9. 優良業者の見つけ方
ネット上では悪徳業者のことは色々と書かれていますが、意外と「こんな業者がおススメです」という優良業者の情報は見当たらないというのが実情です。ここでは、誰でも簡単にできる優良業者の見分け方について、2つほどご紹介します。
9-1. 築年数が10年未満の場合
1つ目は、新築されてから10年未満の方限定の方法です。電話で「ある問合せ」をするだけでその業者が優良であるか、そうでないかが分かります。
その問合せとは電話口で「まだ、築年数が8年なんですが、雨漏りで困っています。安く修理していただけませんか?」と伝えるだけです。
この問合せに対して「分かりました。すぐに見積りに伺いましょう」などと無料見積りを勧めてくる業者はいただけません。その理由は「住宅瑕疵担保責任」の存在にあります。
■ 住宅瑕疵担保責任とは
わかりやすく説明しますと、新築から10年以内に雨漏りが発生した場合、その住宅を販売・建築した業者が無料で修理しなければならないと定められた制度です。
出典:http://kashihoken.or.jp/kashihoken/
出典:http://kashihoken.or.jp/kashihoken/
せっかく国が10年間は無料で直すように法律で定めているのに、そのことを正直に伝えずにさっさと修理してしまおうとする業者は結局、自社の利益しか頭にない証拠です。そのような業者に修理工事を依頼したら、自社利益を中心にした、いい加減なものになってしまうのは火を見るより明らかです。
9-2. 火災保険に加入済みの場合
もう1つは、火災保険に加入されている方に当てはまる方法です。こちらも電話で「ある問合せ」をするだけでその業者が優良でなるかそうでないかが分かります。
その問合せとは「強風で雨漏りが始まったのですが、安く修理していただけませんか?」と電話口で言うことです。
この問合せに対して「分かりました。すぐに見積りに伺いましょう」などと、すぐに無料見積りを行おうとする業者も優良業者とはいえません。
その理由はもうお分かりですね。そうです、火災保険を使って修理費用が実質0円でできる可能性があるからです。無料で修理できる可能性が高いのに、そのことを伝えず、さっさと修理してしまおうという姿勢の業者も、優良業者であるはずがありません。
試しにこの2つの問合せを意中の業者にしてみてください。面白いようにその業者の企業姿勢が分かると思います。
9-3. 優良業者の模範対応例
「まだ、築年数が8年なんですが、雨漏りで困っています。安く修理していただけませんか?」(あなた)
↓
「まずは、建てられた業者に電話で相談してみてください。住宅品質確保法の瑕疵担保責任によって、その業者に無料で雨漏りを修理する義務がありますので、ご安心下さい」(優良業者)
「強風の後、雨漏りが始まったのですが、安く修理していただけませんか?」
(あなた)
↓
「火災保険には加入されていますか?それでしたら、まずは専門業者か保険会社に電話相談してみてください。保険で雨漏りを修理できる可能性が高いですよ」(優良業者)
10. まとめ
今回の記事では、雨漏りの原因、調査内容とその費用相場などについて、お話しさせていただきました。
雨漏りが始まると、色々と頭が痛いでしょうが、分かってみればすぐに解決できることばかりです。優良業者の見分け方も参考にしていただきながら、納得できる雨漏り修理を、無料にてされることを願っています。
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